日本衆議院選挙で圧勝した自民党は、17日午前から幹部が集まって役員会を開き、今後の国会日程や政権運営の方針などについて協議しました。
安倍総裁は、党幹部らとの協議を終えたあと、記者会見を行い、内閣発足後ただちに2%の物価上昇率目標を日銀と共有する政策協定の 検討を関係省庁に指示すると表明しました。

一方、外交・安保政策で、自民と公明両党の新政権は日米同盟の立て直しを最優先に据えまるとしています。安倍総裁は「日米同盟を強化しないと強い外交力を手に入れることはできない」と述べ、首相就任後の最初の外国訪問をアメリカとする考えを表明しました。その上で「中国との関係を改善していく」との道筋を示しました。
また、18日朝、安倍総裁はアメリカのオバマ大統領と電話で会談を行いました。安倍総裁が日米同盟強化の必要性を訴えたのに対し、大統領も日米関係の重要性に言及し「経済・政治で幅広く連携を強化したい」と応じたということです。
会談でオバマ大統領に対し、日米同盟は「日本の外交・安全保障の基軸」と表明し、同盟の強化が「アジア地域の平和と安定に資することになる。地域やグローバルな課題で日米が協力すべき」との考えを示し、同時に「そういう強化を行いながら、中国との関係を考えていく必要がある」として「日本 もアジアのパワーバランスが崩れることのないよう、しっかり責任を果たしていきたい」と伝えました。両者は早期に首脳会談を開催することでも一致し、安倍総裁は来年1月の開催で調整する方針を示しました。
なお、安倍氏は選挙戦で、「対等な日米同盟」を目指して失敗した民主党政権を「外交敗北」と批判し、自民党の政権公約には集団的自衛権の行使容認や憲法改正による「国防軍」保持を明記しました。

そして、テレビ各局のインタビューで、沖縄県の尖閣諸島をめぐる中国との対立に関し、「日本の領土である現状は絶対に変更しない強い意志を示したい」と述べました。持論である公務員の尖閣常駐については「そういう選択肢もある。交渉のテーブルに様々なものが置かれていることが大切だ」 と語りました。
一方、前回の首相当時に日中で合意した「戦略的互恵関係の構築を思い直してもらいたい」と述べ、尖閣問題が経済など日中関係全体に悪影響を及ぼさないようにすべきだとの考えも示しました。
ただ、自民党の政策集に掲げた「尖閣に公務員常駐」などを実行に移せば、中国とのさらなる摩擦は必至です。安倍氏は2006から2007年の安倍政権時に日中関係を改善させた実績があり、新政権でも当面は安全運転に努め、現実的な対応を取るとみられます。