この数日、国際世論は朝鮮民主主義人民共和国が10日から22日に人工衛星をロケットで打ち上げると発表したことに特別な関心を寄せています。これにより、朝鮮半島での緊張情勢が再燃しています。

朝鮮民主主義人民共和国の国営通信社・朝鮮中央通信が1日、「人工衛星を12月10から22日の間に発射する」という同国の宇宙空間技術委員会のスポークスマンの発表を報じました。同国は4月13日にも「衛星」だと主張する事実上の長距離ミサイルを発射し、失敗に終わりました。
今回の発射を巡っては、韓国の聯合ニュースは4日同国政府関係者の話として、「北朝鮮が北西部東倉里の西海衛星発射場で、事実上の3段式長距離弾道ミサイルの2段目の設置を終え、3段目の設置作業を進めているとみられる」と報じました。
これを受けて、日本や韓国などは強く反発しています。韓国は、アメリカや、中国、日本、及びロシアなど朝鮮民主主義人民共和国の核問題の6者協議に関わる国々と連携し、相談しました。韓国の6者協議団長は、4日にアメリカへ到着し、この問題の解決へ向けて、協力強化措置について討議しました。
一方、日本はパトリオットミサイルの配備計画を進めています。パトリオットミサイルはすでに広島県の海上自衛隊基地に到着しており、そこから海路で沖縄に運ばれます。沖縄本島のほか、ロケットが通過すると見られる周辺諸島に配備される予定です。また東京近郊にも、パトリオットミサイルが配備されます。迎撃作戦にはイージス艦数隻のほか、SM3長距離ミサイルが使用されます。日本政府筋によりますと、朝鮮民主主義人民共和国がロケット発射に踏み切ることがないよう要求していくということで、アメリカ、韓国、ロシア、中国などをはじめとする国際パートナーと協力していくということです。

また、国連や中国なども朝鮮民主主義人民共和国に自制を促しています。潘基文事務総長は声明を発表し、「国際社会の一致した姿勢に反し遺憾だ。安全保障理事会決議に直接違反する」と指摘しました。潘氏は朝鮮民主主義人民共和国に対し、近隣諸国の信頼を得るとともに国民生活の改善に努め、さらなる挑発行為はしないことも求めています。
中国外務省の秦剛報道官は「朝鮮民主主義人民共和国には宇宙空間を平和的に利用する権利があるが、こうした権利は国連安保理の関連決議などによって制限を受けている」と述べ、発射が安保理決議に違反すると指摘することで朝鮮民主主義人民共和国に対して自制するよう促しました。そのうえで、秦報道官は、朝鮮民主主義人民共和国を含む各国に対して、「冷静に対応し事態がエスカレートすることを避けるよう希望する」と述べ、緊張を高めないよう呼びかけました。
こうした中、アナリストらは「朝鮮民主主義人民共和国の衛星打ち上げが朝鮮半島での平和へ向けての努力にマイナス影響を与える」との懸念を示し、「朝鮮民主主義共和国がこの衛星を打ち上げるかどうかは焦点となる」と分析しています。