2013年に東アジア諸国で新政権が発足し、協力関係の発展が希望されていましたが、歴史問題や海洋境界画定、領土紛争で日中韓3カ国の間で対立が増してきました。
尖閣諸島 (写真:AP)
2012年8月、韓国の李明博大統領が日本と紛争中の竹島を訪問しました。日本側の中止要請を無視する形で訪問が強行されたことは、日韓関係を極めて厳しいものにしました。
また、この訪問に関して、日本国内で激しい反発が起きるなか、戦略機動部隊である海兵隊が同年9月初旬にこの島上陸訓練を実施しました。
すでに日本政府は、駐韓大使を一時帰国させ、国際司法裁判所への提訴や日韓シャトル外交の凍結を含めた対抗策を検討しましたが、韓国政府が態度を軟化させることはありません。
他方、尖閣諸島の中国領有権を主張する香港の民間活動家団体は、2013年11月初旬に中国本土や台湾の活動家らと連携し、抗議船で釣魚島(尖閣諸島の中国名)に向かって上陸を強行しました。
これにより、日中関係は緊張になってきました。こうした中、中国が東シナ海で防空識別圏に設定すると発表しました。韓国国防省は中国が東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設定したことに対抗して、韓国の防空識別圏を南方に拡大させると発表しました。
拡大範囲は、日本と中国が防空識別圏を設定し、韓国が中国と管轄権を争う東シナ海の海中岩礁、離於島(イオド)(中国名・ 蘇岩礁)上空を含み、日中韓の防空識別圏が一部重なることになりました。これによって3カ国は複雑な対立の火種を抱えることになり、東アジアの空は「一触即発」状態に陥っています。
諸島をめぐる日中の緊張は今後も高まってゆきます。終わりはまだ見えません。神経戦が展開されています。事態は軍事紛争へと雪崩れ込もうとしているかに見えます。
何らかの突発事故や、偶然の銃声ひとつで、事態は全く予想不可能なものになってしまいます。結果もたらされる悲劇は、中国にとって、日本にとって、東北アジア全体にとって、ひいては東アジア全体にとって、深刻なものとなります。
そうした理解は共有されています。中国首脳も韓国首脳も、現状、日本の首脳との直接会談を望んでいません。これも『時間の問題』です。
結局は、日本と中・韓の首脳が膝を付き合わせて交渉を行うことが、状況の側から迫られることでしょう。トップ同士がひとつテーブルに座ってよくよく 話し合う、それしか道はありません。