欧州での安全保障問題

この一週間未満、イギリスとフランスで、この2カ国の兵士を狙った襲撃事件が相次ぎました。2カ国の当局者は調査を進めていますが、これらがテロ事件か、または、イスラム教過激派の報復行為か、まだ判明できていません。こうした中、今後も、イギリスとフランスをはじめ、欧州諸国は安全保障面で様々な問題に直面すると予想されています。


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パリなどで治安措置が強化(写真:Tin moi)

ロンドン南東部ウーリッチの路上で22日午後、イギリス軍の兵士が通行中に2人組の男に刃物で襲われ、死亡しました。地元テレビ局が入手した映像によりますと、容疑者の1人とみられる男性が現場付近で、「戦いを(いど)まれたら戦わねばならない。目には目を、歯には歯をだ」と叫んでいました。

イギリス首相府はこの事件を受け、26日、過激派組織の活動について調べる特別捜査班を設置しました。特別捜査班はキャメロン首相が指揮を()り、過激派組織全般を捜査対象としながらも、実質的にはイスラム過激派を最大の脅威とみなします。

イギリスではこの事件をきっかけにイスラム教に対する反発が強まっており、同国のイスラム教団体は特別捜査班について、「あらゆる方面の過激主義に目を向ける必要がある」と訴えました。

一方、パリ西郊の再開発地区ラデファンスで25日夜、警備中の兵士がカッターナイフのような刃物で首を切りつけられ、負傷する事件が起きました。犯人は北アフリカ系とみられる男で、対テロ特殊部隊が行方を追っています。現場はラデファンスの駅で、兵士3人が警備に当たっていました。男はこのうち1人を背後から襲った後、ショッピングエリアに逃走しました。

マニュエル・バルス内相は26日、「ロンドンで起きた事件との類似点はある」として、テロの可能性を示唆したものの、「われわれは慎重な姿勢を保つべきだ」と述べました。22日にはイギリスで兵士が殺害されていますが、オランド大統領は「現時点で2つの事件の関連性を裏付けるものはない」との見解を示しています。

フランスは今年1月に西アフリカのマリに軍事介入して以降、イスラム武装勢力による襲撃に警戒を強めていました。

現時点までも、この2つの事件の動機がまだ判明していませんが、「類似点はある」とのバルスフランス内相の見解は根拠があるといえます。これは欧米諸国に反対するイスラム共同体の一部の行動の過激化傾向です。この傾向が発展したら、「欧州諸国の新しい悪夢になる」と懸念されています。

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