欧州での米ミサイル防衛システム 平和と安定によいのか

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(写真:TTXVN)

(NATO)北大西洋条約機構のミサイル防衛システムの一環として、アメリカ軍が12日にルーマニアで迎撃ミサイルの運用を開始しました。13日にはポーランドでも同タイプの迎撃ミサイル施設の建設に着手しました。この動きはロシアの強い反発を受けており、ヨーロッパの平和と安定に悪影響を与えるとみられています。

NATOのミサイル防衛システムは、旧ソ連のミサイル攻撃に対応するために1980年代アメリカに提唱されたものです。冷戦後、このシステムの展開は一時的に停止されましたが、2007年、イランのミサイル攻撃への対応を目的として再開されました。しかし、ロシアの強い反発で、また停止されたという歴史があります。

ロシア 対抗措置を警告

今回、運用が始まったのはルーマニア南部のデベゼルに完成した地上配備型の迎撃ミサイル施設「イージス・アショア」で、「陸のイージス艦」を意味します。また、バルト海に近いポーランド北部のレジコウォでも同様の施設の建設が始まりました。ポーランドで運用開始となる2018年に東欧のミサイル防衛システムが完成することになります。

これについて、ロシアのプーチン大統領は13日、アメリカの核戦力を強化するもので、アメリカと旧ソ連が冷戦時代に調印したINF=中距離核ミサイル全廃条約に違反すると指摘しました。そのうえで、「国際的な安全保障の構図を揺さぶるものであり、新たな軍拡競争のスタートにつながる」と述べ、アメリカの対応を強く批判しました。そして、ロシアは軍拡競争に巻き込まれないとしながらも、「戦略的なバランスを維持するために必要なことはすべて行う」と述べて、対抗措置をとる考えを示しました。

プーチン氏は具体的な対抗措置について言及しませんでしたが、核搭載可能な新型ミサイル「イスカンデル」(射程500キロ)などをリトアニアとポーランドに挟まれた飛び地のカリーニングラード州や、ウクライナから編入したクリミアに常駐させる可能性があるとみられています。

欧州の軍拡競争につながり

アメリカのワーク国防副長官は「イランが弾道弾の開発を続ける限り、アメリカはミサイル防衛システム配備でNATO加盟国を守る」と述べ、迎撃ミサイルがロシアからの攻撃を想定していないことを強調しました。

しかし、プーチン大統領は、「数年前まで欧米諸国は『イランからの核ミサイルへの対応が必要だ』と説明していました。しかし、昨年のイラン核合意でそのような脅威はなくなった」と述べ、アメリカの真意に対する深い疑念を示しました。

ロシアは軍拡競争に巻き込まれないようにするという姿勢を示していますが、ロシアと欧米との軍拡競争は避けられないとの意見が多くのアナリストから出されています。実際、ロシアは3M22ツィルコンという極超音速巡航ミサイルの開発を進めており、2018年に生産できるようにしています。また、ロシア軍は、次世代の戦闘機や戦車の研究・開発を急いでいます。

ポーランドはロシアの軍拡を懸念して、総額620億ドル相当の軍事近代化計画を発表しています。

ウクライナ問題などでぎくしゃくしているロシアとアメリカの関係は東欧でのミサイル防衛システムが配置されることにより、さらに悪化する恐れがあります。世界最大2カ国のロシアとアメリカの関係悪化が世界の平和と安定に悪影響を与えることは確実です。


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