この数日、欧州のスペインとポルトガルでは、政府が進める緊縮策に反対するデモが広がっており、緊張が増す可能性があります。この2カ国が経済危機に陥ったことにより、ユーロ圏の債務危機が深刻化するとの懸念も出ています。
マドリードでのデモ(写真:ロイター)
厳しい財政状況が続くスペインの首都マドリードで15日、全国から公務員を中心に数万人が参加して大規模なデモが行われました。デモはスペインの2つの主な労働組合の呼びかけで行われ、公務員を中心に数万人がマドリード市内の数か所から行進して、中心部の広場に集まりました。
スペイン政府は、2年後までに財政赤字をGDP=国内総生産の3%以内に抑えることをEU=欧州連合や、IMF=国際通貨基金などに約束しており、消費税の増税や公務員向けの年末のボーナス廃止など厳しい緊縮策を進めています。こうした緊縮策の影響で景気が冷え込み、失業率が25%近くまで上昇していることなどから、デモ隊は反対を訴えていました。
一方、ポルトガルでも全国で15万人が緊縮に反対して、デモ行進を繰り広げました。同国の40以上の都市でデモが実施され、デモ参加者らは「政府がこの土地を止める前に政府を止めろ」という横断幕を持って行進しました。ポルトガル人たちはIMFなどを非難する一方、右翼政府の退陣を要求しました。
リスボンでのデモ(写真:ロイター)
ポルトガルは、ギリシャ、アイルランドについで、EUとIMFの融資を受ける事態に追い込まれ、緊縮措置がその条件となっています。2010年の財政赤字は国内総生産比9・8%に上りました。これを2011年に5・9%に、今年に4・5%に抑えるとの目標を掲げていますが、達成しにくい状態です。
こうした中、アナリストらは「今後もユーロ圏の危機が悪化する」と予測し、「世界経済にマイナス影響を及ぼすこの問題の解決策がまだない現在、ユーロ圏諸国の指導者らができるだけ早く打開策を見出すよう」期待しています。