欧米のTTIP交渉

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写真:avrupatimes.com

8日ワシントンで、アメリカとEU=欧州連合はTTIP=環大西洋貿易投資連携協定の第1回交渉を開催しました。アメリカにとっては、現在、進めているTPP=環太平洋経済連携協定の交渉に続くFTA=自由貿易協定の交渉となります。

欧米は世界のGDP=国内総生産の半分、世界貿易の3分の1を占め、貿易額は1日27億ドル、相互投資額は3兆7000億ドルに達します。このため、TTIPが発効すれば、世界の貿易・投資ルールづくりをリードし、経済分野における西側世界の指導権が再確立されることになります。EUはTTIP以外に、カナダとの包括的経済貿易協定交渉も行う予定です。西側経済大国クラブであるG8で欧米がTTIP交渉を始動することの持つ象徴的意義は口に出さずとも明らかです。TTIPは自由貿易協定に止まらず、計り知れない政治的影響を持つ内部市場の創造でもあります。交渉では二大市場間の行政分野の貿易障害を撤廃し、欧米の共同発展を促すことに尽力すると表明しました。その戦略的意義は、経済そのものをとうに超えています。ドイツの週刊誌シュピーゲルなどは、TTIPは自由貿易協定に止まらず、ひとまとまりの協力制度を築こうとするものであり、日増しに変化する国際経済環境のもたらす新たなチャンスと試練に対処するため、欧米利益共同体、すなわち「経済版NATO」を構築することが最終目標だと分析しています。EUの交渉目標はアメリカとの貿易・投資を増やし、市場参入の許可、規則面の協調、世界標準の確立を通じて雇用と経済成長を促進することです。投資、消費、輸出が牽引する経済成長において、EUは輸出にしか望みを託せません。このためFTA、特にTTIPを経済的・戦略的苦境を脱するための切り札とみなしています。EUがアジアで中国を避けて韓国、シンガポールと交渉を妥結し、日本、インド、ベトナム、マレーシア、インドネシアと交渉を進めるのは、客観的に見てアメリカのアジア太平洋回帰戦略に呼応したものです。

TTIPは、経済成長を目指すオバマ政権の国際的な取り組みの一環ですが、アメリカの通商専門家や産業界首脳は、アメリカとのFTA交渉に加わっていないただ一つの経済大国である中国に対する圧力となると見ています。

欧米のTTIP交渉では、残存の輸出入関税の撤廃や業界基準の相互承認、市場アクセスの簡素化が目標となります。しかし、交渉推進派でも、交渉には何年もかかると予想しています。USTR=アメリカ通商代表部元代表のミッキー・カンター氏は「難しい交渉になり、どの人の予想よりも長くかかるだろう」と述べました。

一方、アメリカ政府当局者は、中国が欧米のTTIP交渉をにらんで、アメリカとの2国間の貿易・投資交渉開始に向けて取り組みを強化するのではないかと期待しています。

 

 

 

 

 

 

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