21日にイラン国民は正月「ノールーズ」を迎えています。人々は国の平和、安定などへの渇望を抱いて新年に期待をかけています。しかし、同国の核開発プログラムをめぐっては、アメリカやイスラエルをはじめ、欧米諸国が制裁など強固な措置をとり、イラン包囲を強化しています。
イスラエル訪問中のアメリカのオバマ大統領は20日エルサレムで、イスラエルのネタニヤフ首相と会談しました。焦点のイラン核問題について、オバマ大統領は会談後の共同記者会見で「外交的解決の時間はまだある」とし、イスラエルと緊密に連携しながら、「すべての選択肢」 を検討すると述べました。
ネタニヤフ首相も「イランの核兵器保有阻止に向けたオバマ大統領の決意を完全に確信した」と謝意を示しました。また、「イランが核兵器製造を決断しても、実際に完成させるまで1年はかかるだろう」とも述べ、オバマ大統領と共通の認識を示しました。
ネタニヤフ首相はこれまで、イランの「レッドラインつまり越えてはならない一線」を核兵器製造能力を持つ段階とし、今年夏にはレッドラインに達する として、外交から軍事行動検討への切り替えを主張しています。
これより前に、13日、アメリカ国務省はイラン中央銀行と取引のある外国金融機関に制裁を科すアメリカの法律から、日本とEU=欧州連合加盟国の一部を対象から除外する措置を向こう180日間にわたって延長すると発表しました。
ジョン・ケリー国務長官はその声明で、合わせて20か国が「イラン産原油の輸入量を引き続き大幅に削減している」との見解を示しました。
イラン政府への圧力を強めることを目的とする法律の下、アメリカはイランと取り引きする外国の金融機関に対し、自国の金融機関との取り引きを禁止する制裁措置を実施しています。現在、イランの企業490社と個人105人が欧米諸国の制裁の対象となっています。
欧米諸国の包囲政策はイランに大きな損失を与えています。統計によりますと、同国のインフレ率は20%を超えているほか、原油輸出が以前の日糧220万バレルから100万バレル以下に低下していることによる損害額が約400億ドルに上ると概算されています。
こうした中、「イラン国民の希望が早期に実現できない夢に過ぎない」との悲観的な見方が出ています。