
11月26日から12月7日にかけて、カタールの首都ドーハで、COP18=気候変動枠組条約第18回締約国会議、CMP8=京都議定書第8回締約国会議(CMP8)が開催されています。しかし、2週間に及ぶ会期の半分以上を過ぎても、2012年末に「第1約束期間」が終わる京都議定書に代わる新たな枠組みに向けた具体的な内容は手つかずのままです。
2020年以降にスタートさせる新たな枠組みでは、CO2=二酸化炭素排出量が世界第2位で京都議定書から離脱したアメリカや、削減義務を負っていない世界最大の排出国の中国、同3位のインドなども含めたすべての主要排出国の参加を目指していますが、4日から始まった4日間の閣僚級会合での進展は厳しい情勢です。
多くの国から、各国の排出削減の取組を一層野心的なものにする必要性が指摘され、各国のベストプラクティスを共有し、各国がそれぞれの状況に応じた取組を積極的に進めるべきであるとの認識の共有が深まるかが注目されます。
会合では途上国と先進国の意見の食い違いが表面化しています。中国とインドは新枠組みでも「排出削減は先進国により重い責任がある」と主張し、さらに「削減には先進国からの資金や技術援助が不可欠だ」と繰り返しました。一方でアメリカは、自国の削減には消極的なうえ、新枠組みでは中国・インドも先進国と同等の義務を負うべきだとの考えです。

京都議定書は先進国だけに温室効果ガス削減を義務づけています。日本は第1約束期間に参加しましたが、2013年以降の第2約束期間については、昨年のCOP17で不参加を表明しました。途上国やNGOから、再考を促す声も根強いですが、方針は変えていません。
第2約束期間に参加を表明しているのはEU=欧州連合、スイス、ノルウェーなどで、オーストラリアも前向きです。ニュージーランドは日本と同様に不参加を表明しました。新枠組みは2015年までの合意が目標としています。COP18では同年までの交渉の計画作りを目指しています。しかし、計画を詳細に詰めようとすればするほど対立が激化して議論が進まないため、たたき台には、2014年のCOP20までに交渉の要素をまとめることなどが盛り込まれただけです。

会議では日本を含む先進国側は2020年にすべての国が参加して始める新たな枠組みの議論を進めたい考えです。しかし、これまでの会議では、途上国側が新たな枠組みの議論の前にまず具体的な資金支援を約束すべきだと主張しているのに対し、先進国側は世界的な不景気のなか、具体的な支援額を打ち出すのは難しいと反論し、交渉は難航しています。
今回の閣僚級会合で資金支援を巡っては、各国がどこまで折り合いをつけ、新たな枠組みに向けた議論が進むのか注目されます。