すでにお伝えしましたように5月31日夜、シンガポールで、第12回アジア安全保障会議つまりシャングリラ対話が開幕しました。今回の対話で、ベトナムのグエン・タン・ズン首相は基調講演を行いました。今日のこの時間はこの講演の主な内容をご紹介します。
「アジア・太平洋地域の平和、協力、繁栄の為の戦略的信頼醸成」をテーマにしたこの基調講演の中、ズン首相は「世界の経済大国3カ国があるアジア地域はダイナミックに発展しており、多分野やマルチレベルの協力、連携が主な傾向となっている」とした上で、「しかし、近年、域内の平和と安全保障は多くのリスクと試練に直面しており、懸念が高まっている」と指摘しました。ズン首相は次のように強調しました。
(テープ)
「発展プロセスにおいて、競争と介入は普通ですが、その競争と介入は国際法に違反する不透明で利己的なものとなると、戦略的信頼を醸成できなく、亀裂や相互けん制につながり、平和協力発展事業に悪影響を与えます。朝鮮半島での予断できない状況、および、複雑に推移している東シナ海やベトナム東部海域いわゆる南シナ海での領有権紛争は航海の自由と安全保障をはじめとする地域の平和と安定を脅かしており、国際社会に深い懸念を引き起こしています。単独の力の重視や、道理のない要求、国際法違反、威圧的な強権政治などの現象も出ています」
このように語ったズン首相は「武力衝突が発生した場合、勝者は1人もいなく、皆負ける。このため、各国はアジア・太平洋地域の平和、協力、繁栄のために戦略的信頼を醸成する必要がある」と述べ、次のように語りました。
(テープ)
「戦略的信頼醸成のためには、国際法の遵守、各国の責任感の向上、多国間の安全保障協力の効果向上が必要です。今世界において、国連憲章をはじめ、国際法、共通の行動規範は尊重すべきの全人類の価値となっています。これは戦略的信頼醸成の決定的な条件でもあります。各国は、小国であっても、大国であっても、互いに尊重し、平等関係と戦略的信頼を持つ必要があります」
このように語ったズン首相はASEANの強調や団結、中核的な役割について触れ、次のように語りました。
(テープ)
「ASEANは、自らの役割を発揮させるためには、ASEAN内の団結を保たなければなりません。ASEAN内の不統一はASEANの地位向上にマイナス影響を与えます。私たちが必要とするのは、加盟諸国が自国の国益しか考慮しないASEANではなく、団結して強固となり他の国々と効果的に協力するASEANです。我々の責任は信頼を向上させることです」
ベトナム東部海域問題に関して、ズン首相は「ASEANと中国は、責任感を高め、戦略的信頼を強化し、DOC=行動宣言を履行し、1982年国連海洋法条約などを基礎にCOC=行動規範を早期に作成する必要がある」と強調しました。
ズン首相はさらに、ベトナムの全方位外交政策を再確認し、「『各国の独立、主権の尊重、内政不干渉、相互尊重、平等・互恵の協力』という原則が履行された場合、国連安全保障理事会の全ての常任理事国との戦略的パートナー関係を樹立したい意向がある」と強調しました。
この基調講演の中で、ズン首相は「ベトナムは工兵や軍医、軍事オブザーバーの分野をはじめとする国連の平和維持活動に参加する」と発表しました。ズン首相は次のように語りました。
(テープ)
「ベトナムの国防政策は『平和と自衛』ということです。ベトナムはいかなる国とも軍事同盟関係を締結しなく、他の国がベトナム領内に軍事基地を置くことも許可しません。軍隊の現代化は自衛だけを目指すものです」
一方、朝鮮半島情勢や海上紛争の解決策について、ズン首相は次のように強調しました。
(テープ)
「ベトナムは『平和的な解決策、国際法の尊重、各国の独立、主権と正当な国益の尊重』という原則を一貫して維持します。関係各国が自制し、武力行使または武力行使威嚇をしないよう要請します。ベトナムは1982年国連海洋法条約をはじめ国際法に従って自国の正当な利益を守ります」
講演の最後に、ズン首相は各国に対し、アジア太平洋地域の平和、協力、繁栄のために具体的な行動で協力するよう呼びかけました。