米・エジプトへの軍事援助の一部凍結


先頃、アメリカのオバマ政権は毎年継続しているエジプトに対する援助のうち、大型兵器の供与や資金提供を凍結すると発表しました。

その目的は7月の軍による事実上のクーデターや、暫定政権とモルシー前大統領派との衝突で多数の死傷者が出たことを受け、凍結により暫定政権に民政移行に向けた行動を促すためのものです。

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アメリカのヘーゲル国防長官は9日、暫定政権のシーシー国防相と電話会談し、援助の一部凍結を伝えるとともに、今後も連携をとることで合意しました。

凍結されるのは、戦車M1A1エーブラムズ、対艦ミサイルのハープーン、攻撃型ヘリコプターのアパッチなどの供与です。F16戦闘機の引き渡し凍結も継続されます。約2億6千万ドル(約254億円)の資金援助も停止されます。

アメリカ政府はこれまでエジプトに対し、毎年約15億ドルの援助を行ってきました。しかし、オバマ政権は、エジプト軍が事実上のクーデターでモルシー氏を失脚させたことなどを踏まえ、「通常の関係は維持できない」と表明し、援助見直しを検討してきました。今回の一部凍結には、暫定政権に民政移行を促す意味合いがあります。

エジプト外務省の報道官は10日、アメリカがエジプトへの軍事支援と資金援助を一部凍結したことに関し、「間違った決定」だと批判しました。外務省の報道官は民営ラジオ局に対し、「決定は間違っている。

エジプトはアメリカからの圧力に屈することはなく、引き続き、ロードマップ(行程表)で定められた民主化の道をたどる」と述べました。

アメリカのこの決定はこの2年間、政治情勢の不安が続いていたエジプトに深刻な影響を与えることが予測されます。しかし、オバマ政権は中東情勢の安定化に貢献してきたエジプトの役割を評価し、暫定政権との関係は維持する考えで、国境警備やテロ防止活動、軍事訓練などへの支援は継続することを公約しました。

アメリカ政府高官は9日、「援助の凍結は恒久的なものではない」とし、民政移行の進展に応じて凍結解除を検討するとの見通しを示しました。しかし、アメリカのこの発言はエジプトに安心感をもたらすことはないでしょう。

 

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