米ロ関係

ロシア政府は、アメリカの外交官がロシアの諜報機関の職員に対してアメリカのスパイになるよう勧誘したとして、この外交官に国外退去を命じました。この事件は、改善の兆しが見られていたアメリカとロシアとの関係に陰を落とす懸念が出ています。


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ロシアのマスメディアによりますと、ロシア連邦保安局は13日深夜、モスクワのアメリカ大使館に勤務する男性のライアン・フォグル3等書記官をロシアの諜報機関の職員に対してアメリカのスパイになるよう勧誘したとして拘束し、その瞬間を撮影した映像を公開しました。

連邦保安局によりますと、この書記官はCIA=アメリカ中央情報局の職員で、所持品の中には多額の現金や変装用のかつら、それに勧誘した相手に宛てた手紙もあり、手紙には長期的な契約を結べば年間100万ドルの報酬を支払うことなどが書かれていたということです。

書記官は外交官としての不逮捕特権があるため、拘束から数時間後にアメリカ大使館に身柄を引き渡されました。

アメリカのMD=欧州ミサイル防衛計画をはじめ人権や安全保障の問題を巡って関係が悪化していたロシアとアメリカは、最近、ボストンの爆破テロ事件やシリア問題への対処で協調していくことで一致し、シリア問題をめぐっても共同で国際和平会議の実現を目指すなどして、関係改善の兆しが見えていましたが、今回のスパイ騒動が両国の関係にマイナス影響を与えるおそれも出ています。

ロシア外務省は14日、この書記官に国外退去を命じたと発表し、「冷戦時代のような行動は両国の信頼関係の強化にはつながらない」とする声明を出して不快感を示しました。

一方、国務省のベントレル副報道官代理は、今回の事件が両国の関係やシリアの和平会議に大きな影響を与えないだろうとの見方を示しました。

アナリストらは「この事件はロシア側の根強い対米不信感を浮かび上がらせた形だ」と指摘しています。今後、両国がどのような措置を取るかが焦点となっています。

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