(VOVWORLD) - 今回の会談は両首脳の信頼回復に役立っていると言えますが、両国関係が実質的に改善できるのかは疑われています。
アメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領が16日、ヘルシンキのフィンランド大統領公邸でおよそ1年ぶりの首脳会談を行ないました。両首脳は冷戦以降最悪といわれる関係の改善をアピールしましたが、懸案事項は「棚上げ状態」の格好となりました。
(写真:Guardian) |
主な問題解決で一致
首脳会談で、両首脳は、両国の間で残された問題について同意の姿を見せており、対話を通じて関係改善を目指すことで一致しました。トランプ氏は会談後の共同記者会見でプーチン氏を「よい競争相手」と持ち上げ、「ロシアと仲良くすることは良いことだ」と述べました。プーチン氏も「二国間関係についても、世界のさまざまな問題をはらむ地域についても、話し合う時がやってきた」と前向きな姿勢を示しました。
プーチン氏は選挙干渉問題について、会談で話し合ったことを明らかにし、「ロシアが干渉したことはないし、米国の内政問題に介入することはない」と強調しました。これに関し、トランプ氏は「ロシア疑惑の捜査はアメリカにとって災難で、自らの陣営とロシアの共謀はなかった」と主張しました。
また、プーチン氏は会見で、核軍縮を巡り「両国の核兵器のバランスについて対話を始めることが大事だと信じる」と強調しました。
両首脳は朝鮮半島の非核化についても協議しました。プーチン氏は、史上初の米朝首脳会談を実現したトランプ氏の取り組みを評価し、トランプ氏は「プーチン氏と協力することを確認した」と述べました。プーチン氏は一方、アメリカがイランの核合意から離脱表明したことに懸念を示しました。
そして、両首脳は2021年に期限を迎える米ロ間の新戦略兵器削減条約(新START)を含めた核軍縮で連携する考えを示しました。
会談の結果についてプーチン氏は「成功し、実りがあった」と述べました。トランプ氏も会談を「建設的だった」と評価しました。
米国内からの批判
その一方で、アメリカ国内からトランプ氏の姿勢を批判する声が上がっています。
トランプ大統領は、共同会見で大統領選への介入疑惑について「ロシアが介入したとみなす理由はない」と、むしろロシアを擁護したという姿勢について、アメリカの主要メディアは「自国の諜報(ちょうほう)機関を信じずに、プーチン大統領を信用するのか」、「アメリカ史上、最も恥ずべき会談だ」などと、会談を相次いで酷評しています。
また、マケイン上院議員は声明でトランプ氏の発言について、「記憶の限りにおいて米大統領による最も恥ずべきパフォーマンスの1つだ」とした上で、「専制君主の前で大統領がこれ以上情けなく卑下した大統領はかつてない」と非難しました。
そして、今回の会談で、両首脳は核軍縮やシリア内戦などでも協力するとしましたが、実現させるための具体策は示しませんでした。そのため、今回の会談は両首脳の信頼回復に役立っていると言えますが、両国関係が実質的に改善できるのかは疑われています。