アメリカと中国の両国が経済や外交上の懸案などを話し合う第5回米中戦略・経済対話は10日ワシントンで11日までの日程で開幕し、アメリカ側はケリー国務長官とルー財務長官、中国側はヨウ・ケツ・チ国務委員、オウ・ヨウ副首相がそれぞれ代表を務め、政治と経済に分かれて討議しています。
今回の対話では、環境問題や、両国の経済、朝鮮半島での非核化、サイバー攻撃問題などが主要議題となっています。
10日、初日の討議を終え、米中が地球温暖化対策の行動計画を10月までにまとめることで合意しました。排ガス削減技術の共同開発など5分野を重視する見通しです。京都議定書が終わる2020年以降の温暖化対策の枠組づくりで米中が影響力を強めそうです。
経済問題に関しては、アメリカのバイデン副大統領は開幕の演説で、中国の金融システム問題について「影の銀行いわゆるシャドーバンキング部門を修復しなければならない」と早急な改革を要請しました。
これに対し、中国のヨウ国務委員は「改革を継続する」と応じました。通商自由化も大きな議題です。米中双方の貿易額は2012年には5360億ドルに達し、アメリカにとって、中国は第2位の貿易相手国となっています。政治・外交上の懸案が山積するなか、経済の結びつきも急速に深まっています。
朝鮮半島での非核化に関しては、アメリカのケリー国務長官と中国のヨウ国務委員は朝鮮民主主義人民共和国の非核化の必要性をあらためて確認しました。アメリカ政府高官によりますと、両氏は朝鮮民主主義人民共和国が過去の国連安全保障理事会決議を順守しなければならないとの認識でも一致したということです。
サイバー問題に関して、アメリカ政府の高官によりますと、アメリカ側は中国がアメリカの政府機関や企業などに対してサイバー攻撃を行って情報を盗み取っているとして、対応を取るよう強く求めました。
中国側がこれにどう応じたのかは明らかになっていませんが、アメリカの情報機関による個人情報の収集について告発したCIA=中央情報局のスノーデ ン元職員がアメリカも中国に対してハッキングを行っていたと証言していることから、これについて詳しい説明を求めたものとみられます。また、サイバー攻撃の問題で、両国は、今月8日に続く2回目の作業部会を年内に開催することで合意しました。
今回の対話もアメリカと中国との関係の強化に寄与し、両国間の新型関係の構築に土台を作り出すと評されています。