米中貿易戦争をめぐる問題

(VOVWORLD) - 先週、アメリカ・中国“貿易戦争”が勃発しましたが、両国の強固な姿勢から見れば、この“戦争”は長引くと予想されています。従って、米中両国だけでなく、国際貿易は多大な被害を受けるであろうと懸念されています。

互いの報復措置

アメリカは7月6日、340億ドル(約3兆8000億円)相当の中国製品に25%の追加関税を導入しました。これに対し、中国は、「アメリカが経済史上最大の貿易戦争を開始した」とし、「必要な報復措置をとる」と表明しました。従って、世界の二大経済大国が貿易面で全面的に争う形となりました。

6日に導入された対中関税の第一弾では、企業は航空機のタイヤや業務用食器洗浄機といった340億ドル相当の中国製品に、追加で25%の関税を支払うことになります。一方、アメリカ産の農業製品や、自動車の340億ドル相当に25%の関税をかける計画である中国は、アメリカの追加関税に激しく反発しています。

中国商務省の報道官は、「この課税は典型的な貿易上の弱い者いじめだ。グローバルな産業チェーンや、バリューチェーンを脅かし、世界経済の回復ペースを妨害し、世界市場の混乱を招いている」と指摘しています。トランプ大統領は対中関税を、「アメリカの技術や、知的財産が不当に中国に流出していることを防ぎ、雇用を守るためだ」としています。

トランプ氏は去る5月に、500億ドル相当の中国製品に関税を課すと発表しましたが、ホワイトハウスは、残り160億ドル相当の中国製品に対する追加関税についても協議すると明らかにしました。報道界によりますと、トランプ大統領は向こう2週間以内に残りの関税も施行する可能性があります。こうした中、世界貿易や世界経済の成長への損害を懸念する声が多く上がっています。

勝者がない紛争

実際、トランプ大統領の保護主義政策の一環である関税導入は、ここ数十年間に国際貿易を形作ってきた自由貿易を揺るがしています。追加関税の発表前からも株式市場は不安定な動きを見せています。

アメリカの投資銀行「モルガン・スタンレー」は、トランプ氏による5日の発言前に出した投資家向けメモで、現時点で発表されているアメリカの追加関税による影響額は世界貿易の0.6%、世界のGDP=国内総生産の0.1%に当たると推定しています。

また、アナリストらは、サプライチェーンに含まれる第三者への影響や、一般的な米中関係の悪化についても懸念を示しています。さらに、貿易紛争は、米中関係の別の側面にも影響を与えそうです。アメリカの対中輸入額が同輸出額の4倍近くになっていることを考えると、中国は対立が激化した際、貿易以外の方法で報復するかもしれないとしています。

特に、現段階はこの“貿易戦争”の初期段階に過ぎません。今後も、紛争は引き続き激化し、全世界経済を脅かしていくと指摘されています。

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