米国が加盟しないTPP


アメリカのトランプ大統領は、本格的な執務初日となった23日、TPP=環太平洋パートナーシップ協定から離脱する大統領令に署名しました。これはトランプ氏が選挙戦で出した自らの約束を実現する措置と見られていますが、これにより、世界最大の自由貿易協定の早期発効は不可能になりました。


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(写真:WIKI)

全世界の貿易活動の指針と見られるTPP協定をめぐっては、この10年の歳月を費やし交渉され、去年2月、日本やアメリカなど12か国が署名し、各国で国内の承認手続きが進められていました。協定の発効には加盟諸国のGDP国内総生産の60%以上を占めるアメリカの承認が欠かせない仕組みになっています。


米国の
TPP離脱の理由

TPP交渉に参加しているのはオーストラリアや、カナダ、ブルネイ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、アメリカ、ベトナムの12カ国です。アメリカに関しては、大統領選挙戦が激化中にも、トランプ氏はTPPから離脱したい姿勢を示していました。

その理由はアメリカ側がグローバル化の消極的な影響を実感しているということです。トランプ大統領は、TPPの代わりに、アメリカの国益を反映させやすい二国間の経済連携協定の交渉を進めたい考えです。

また、トランプ新大統領は、貿易赤字が膨らんでいる中国に対して、輸入品に高い関税をかける構えを見せるなど、中国との貿易摩擦が強まるおそれもあり、自国の利益を最優先にする保護主義的な通商政策は、世界貿易の低迷を招くとする懸念も出ています。さらに、トランプ新大統領は、メキシコに移転した工場からアメリカに輸入した製品には35%の税金を課す考えを示しています。


次世代の自由貿易協定の未来

トランプ氏の決定を受け、各国は異なる反応を示しています。日本政府内では、「TPPは経済規模が大きいアメリカの参加を前提に、各国が一定の譲歩をして合意したことから、アメリカが抜ければ11か国の協定を新たに取りまとめることは難しい」という意見が大勢です。

このため、日本政府はトランプ新政権や議会の関係者に対し、粘り強くTPPの意義を説明して、国内手続きを進めるよう働きかけていく方針に変わりありません。一方、ニュージーランドとオーストラリアは、中国などアジア諸国の参加を促すことで協定の存続を目指す考えを示しています。特に、アメリカ国内でも反対意見が出ています。ジョン・マケイン上院議員は声明を出し、その中で、「この行動は深刻な誤りだ」と批判しています。

TPPは21世紀になって最初の主要な多国間貿易協定であり、経済面だけではなく、知的所有権や、国際的貿易摩擦、国営企業の役割なども含めています。エコノミストらによりますと、この問題は、加盟諸国間の関係や、それぞれの国の役割という、より広い観点から論じられる必要があります。経済的側面に限って議論すると、TPPの真の意義や長期的な重要性を過小評価することになりかねないとしています。

こうした中、アメリカの離脱はTPPに終止符を打つものではありませんが、アメリカ経済にマイナス影響を与え、そして、保護的主義に反対する全世界の流れに逆行するというアメリカの姿勢を示すものであると指摘しています。

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