(VOVWORLD) - 双方が報復措置をとっている最中、イランは射程約120キロの新型ミサイルの生産を開始すると発表しました。
この数日、アメリカとイランの関係は悪化し、双方の報復措置などにより、その緊張が高まっています。中東地域の不安定な情勢が続く中、両国の関係悪化がイランの核合意の将来や、地域と世界の平和、安定にマイナス影響を与えることが懸念されています。
22日、アメリカ政府は声明を出し、「トランプ大統領はイランに対し、同国内に拘留されているアメリカ人を釈放しなければ、イランはこの行動による厳しい結果に直面するだろう」と明らかにしました。
トランプ大統領は、イランに対し、1年前、同国内で行方不明となったアメリカ連邦捜査局の元捜査官のアメリカへの帰還や、イラン系アメリカ人とその父親の釈放を求めました。これに先立つ16日、イラン側はイランで昨年夏に拘束されていた中国系米国人の大学院生に、スパイ罪で禁錮10年の刑を言い渡しました。
アメリカ側はこの人の釈放も要求するとともに、イランがアメリカの要求に応じなければ、追加制裁も辞さないとする声明を発表しました。これに対し、イランは拒否しながら、「アメリカがイランの内政に干渉している」と批判しています。
さらに、アメリカ政府は18日、弾道ミサイル開発に関与したなどとして、18個人・団体を対象に対イラン追加制裁を発表し、また、国務省が19日に公表した国際テロ動向に関する報告書でイランを「最大のテロ支援国家」と名指しするなど、イランへの厳しい姿勢を維持しています。
一方、イラン側は、トランプ大統領が5月末のサウジアラビア訪問で、サウジアラビアと締結した1100億ドル相当の武器売却協定を強く非難し、「これはイランにとって、脅威である」と指摘しています。
双方が報復措置をとっている最中、イランは射程約120キロの新型ミサイルの生産を開始すると発表しました。これらの動きはアメリカ・イラン関係の悪化に繋がっています。
関係の浮き沈み
実際、アメリカとイランとの関係が改善されたときもあります。これは、2015年7月にイラン核合意が達成された後の時期です。この合意は歴史的なものと評価され、12年間続いた複雑な交渉に終止符を打つものです。
この合意は、オバマ政権の際立った外交成果と見られていますが、トランプ大統領は不満を表明し、イランに対する強固な措置をとる必要があるとしています。特に、その離脱も示唆しました。トランプ政権は、「イランがその合意を履行している」と認めながらも、合意を全面的に評定しなおす必要があると主張しています。
中東地域の緊張エスカレート
イランへの追加制裁で、アメリカはイランの核・ミサイル開発プログラムに対する態度を明確に表わしています。また、「イランがその合意を履行している」と認めながらも追加制裁を行使することは、アメリカがイランに対する政策において、二心を抱いていることを示すものと見られています。
これは、イランに圧力を加える反面、2015年7月に達成されたイラン核合意を維持したいということです。一方、イランも強固な姿勢を示し、「アメリカが合意を履行しなければ、報復措置をとる」と再三確認しました。
こうした中、アナリストらは、「今後も、アメリカ・イラン関係は緊張が続き、イランの核・ミサイル開発プログラムに関する交渉も時間がかかる」と予測しています。また、「これは、中東情勢を複雑化させる」と指摘しています。