南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領の追悼式が10日、ヨハネスブルク郊外の球技場で開催されました。「和解のシンボル」と呼ばれたマンデラ氏にふさわしく、世界各国の指導者から国内の一般市民まで数万人が一堂に会して同氏を追悼しました。式の最中にはアメリカのオバマ大統領がキューバのラウル・カストロ国家評議会議長と握手を交わすという異例の一幕もありました。

アメリカは外交関係を断絶した1961年から対キューバ全面的貿易封鎖を実行、1962年のキューバ危機で対キューバ海上封鎖を宣言しました。この制裁措置はキューバ経済に総額およそ1兆1千億ドル相当の‘被害を与えました。この制裁措置により、子供を始め、キューバ国民が危険な病状の治療サービスを受けられなくなりました。
しかし、近年、オバマ政権は対キューバ政策を発表し、経済. 制裁を緩和しました。例えば、2009年、オバマ大統領はキューバへの渡航や送金などについて一連の規制緩和を発表し、ブッシュ前政権からの大々的な政策転換の一環とされました。具体的には、アメリカ系キューバ人がキューバの親族を訪問する回数や滞在期間の制限を撤廃するとともに、訪問可能な親族の範囲を第3親等まで拡大しました。さらに、送金額や送金頻度に対する制限も撤廃しました。また、アメリカとキューバの通信を結ぶ光ケーブルや通信衛星設備の設置契約に米通信会社が調印することを可能にするなど、キューバとの商取引に関する規制も緩和しました。
去る10月、国連総会(193カ国)はアメリカが1962年からキューバに科している経済制裁をやめるよう求める決議を188カ国による圧倒的賛成多数で採択しました。オバマ大統領はアメリカは対キューバ政策を変更することを言明しました。
現在、キューバは市場開放、ペソ、二つの通貨を統一など経済改革路線に踏み出しました。この開放政策はキューバ経済に新しい展望を切り開くだけでなく、アメリカを含め、世界各国との経済協力関係に新たなチャンスをもたらします。アメリカはキューバのこれらの動きをきちんと監視しています。また、およそ半世紀前から実施してきた対キューバ制裁措置はアメリカとラテンアメリカとの経済関係に支障を来たすことは事実です。
オバマ大統領とラウル・カストロ国家評議会議長が交わした握手はアメリカとキューバとの関係にどのような影響を与えるかまだ判断できませんが、多分、対キューバ政策の改善は現状のまま維持される可能性もあるでしょう。