米国の国家軍事戦略2015


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(写真: thanhnien.com.vn)

アメリカ軍の統合参謀本部は1日、軍の運用指針となる国家軍事戦略を発表しました。アメリカの安全保障を脅かす国家として中国などを挙げました。同戦略で中国を脅威と位置づけるのは初めてとみられます。日本など同盟国やNATO=北大西洋条約機構など多国間の枠組みで中国やロシアなどに対処する方針を明記しました。

この戦略は2011年以来の改定となります。ロシアへの警戒感をあらわにしたのが特徴で、アメリカが大国との戦争に関わる可能性を「低いが高まっている」と警告しています。


世界の安全保障における米国の役割向上

戦略ではまず「アメリカの安全保障を脅かす国家がある」と指摘しています。そのうえで、ロシア、イラン、朝鮮民主主義人民共和国、中国の順に列挙し、それぞれの国の具体的な脅威となる行動を明示しました。中国については岩礁埋め立てが「アジア太平洋地域の緊張を高めている」「国際的なシーレーンにまたがった軍事力の配置を可能にする」などと断じました。

安全保障環境を巡る認識については「現時点でアメリカが他の大国との国家間戦争に巻き込まれる可能性は低い」としながらもその危険性は「増大している」として急激な変化に危機感を示しています。そして、今後は国家による脅威への対応能力を強化する必要性を訴えました。

中国の軍事費が増え続ける一方で、アメリカ防費が削減されてきた実態を直視し、米軍の優位性は「侵食され始めた」と、その低下も認めました。その前提に立って「同盟国とのネットワーク強化への努力」を進める考えを強調しました。

そのうえで、「アメリカと同盟・友好国とのネットワークは、世界の安全と安定の礎となる類いまれな強さがある」とし、「集団的な軍事力」を高めることなどにより、「侵略を抑止する」と強調しました。

日本やオーストラリア、韓国、フィリピン、タイとの同盟を強化し、アジア太平洋に戦略の重心を移すリバランス(再均衡)戦略を推進するとした。また、日本、NATO、オーストラリア、韓国を「先進パートナー」とし、合同軍事演習などにより「複合的な紛争に対処する高度な能力」が備わるとしました。


アジア太平洋に戦略の重心を移すリバランス(再均衡)戦略を推進

2011年の軍事戦略にアメリカはアジア太平洋に戦略の重心を移すリバランス(再均衡)戦略について触れていますが、今回の戦略にはアメリカは具体的な任務を出しました。その中で、アメリカは自国と同盟国だけでなく、アメリカの同盟国ではないものの相手国やアメリカの戦略的利益に関係がある国々の安全保障をも参加するとしました。

アメリカの国防予算は毎年6千億ドルにのぼり、世界最高となっています。中国が興隆する背景の中で、アメリカはアジア太平洋に戦略の重心を移すリバランス(再均衡)戦略を推進することは驚くものではないでしょう。


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