
今週、アメリカのケリー国務長官は日本、中国、韓国3カ国の歴訪に出発します。これは就任後のケリー国務長官の初外遊ではありませんが、オバマ政権の「アジア重視」戦略を立証するものとみられます。
アメリカ国務省は3月14日、ケリー国務長官が4月中旬から就任後初めて日本、中国、韓国を訪問すると発表しました。ケリー長官は4月10日と11日の両日、ロンドンで開催されるG8=主要国外相会合終了後にアジアに移動する予定です。
今回、ケリー長官は各国の歴訪を通じ、オバマ政権2期目の「アジア重視」戦略の具体的な方向性を示すとしています。
ヌランド国務省報道官は記者会見で、北京では中国からのサイバー攻撃の問題が取り上げられるとの見通しを示しました。また、日本、韓国、中国への訪問で、この3カ国の外務大臣と会談し、2国間、地域、世界の問題、さらには経済や環境問題に関する協力の強化について話し合う予定だ」と明らかにしました。
また、アメリカ国防総省は、カーター国防副長官が17日から21日にかけて日本、韓国、フィリピン、インドネシアを訪問すると発表しました。中国が領有権を主張し、関係国と対立する沖縄県・尖閣諸島やベトナム東部海域、いわゆる南シナ海の問題も話し合われるとみられます。
ケリー長官の訪問を前に、5日午前、日本外務省は昨年の外交活動などをまとめた13年版外交青書を報告しました。中国の海洋進出や朝鮮民主主義人民共和国の核・ミサイル開発を念頭に「アジア太平洋地域の安全保障環境は厳しさを増している」と指摘しました。地域全体の平和と安定のため「日米安保体制の抑止力を向上させていくことが不可欠」と強調しました。
昨年の沖縄県・尖閣諸島の国有化後の中国側による領海侵入やレーダー照射事件に触れ「事態をエスカレートさせないよう求めていく」としました。 朝鮮民主主義人民共和国に関しては「地域のみならず国際社会にとっての脅威」と明記し、米韓両国などと連携して対処する方針を強調しました。
韓国が実効支配を強める島根県の竹島は 「平和的解決のため、今後も粘り強い外交努力を行う」としました。外交姿勢に関し、日米同盟の強化、近隣諸国との協力関係の重要性を強調しました。
ケリー長官は、3カ国歴訪後、6月にも、ブルネイで行われるASEAN=東南アジア諸国連合地域フォーラムに出席し、東南アジア諸国の外務大臣と話し合いを行います。こうした訪問は「ダイナミックな発展を遂げているアジア地域はオバマ政権の外交政策において重要な存在であり続ける」ことを示しています。