経済発展を支える海洋経済の新たな展開

(VOVWORLD) - 10月21日に開幕された第15期国会第8回会議で、ファム・ミン・チン首相は持続可能な海洋経済の発展と国家海洋空間の活用を重要課題として掲げました。21世紀は「海洋の世紀」と言われており、ベトナムを含む海洋国家にとって、海洋開発の推進は国家戦略の要となっています。

現在、ベトナムの沿岸28省・市には約1900万人が居住し、国内の主要都市の約半数が沿岸部や島嶼部に集中しています。この地理的特性を活かした経済発展が期待されています。

経済発展を支える海洋経済の新たな展開 - ảnh 1カインホア省のバンフォン経済区

地域における取り組み

南中部に位置するカインホア省では、2030年までに国際的な海洋観光・サービスの拠点となることを計画しています。さらに2050年を見据え、環境配慮型スマートシティとしてアジア有数の海洋経済の中心地への成長を目標としています。同省は高品質な物流サービス、加工・製造業、エネルギー分野を重点的に整備しています。カインホア省人民委員会のグエン・タン・トゥアン委員長は次のように語りました。

(テープ)

「カインホア省は地域を代表する海洋都市の実現に向けて、総合的な開発計画を進めています。その中で、国防・安全保障の確保と海洋島嶼における主権維持は最重要課題です。特に、当省が管轄する戦略的要衝のチュオンサ諸島については、主権保護と経済発展の両立を図りながら、慎重に開発を推進しています」

一方、南部のベンチェ省は65kmに及ぶ海岸線を活用し、東方への発展戦略を展開しています。特に再生可能エネルギーの分野では、総出力1000MWを超える19件の風力発電事業を推進中で、すでに9件が基礎工事を完了しています。また同省は「ベンチェグリーン水素複合施設」構想を打ち出し、ベトナムの水素産業における先駆的プロジェクトとして注目を集めています。

ベンチェ省は東方への発展戦略の一環として、大規模な海面埋立事業への投資誘致を積極的に進めています。これについて、ベンチェ省人民委員会のチャン・ゴック・タム委員長は次のように語っています。

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「ベンチェ省は東方への発展戦略の一環として、5万ヘクタール規模の大規模な海面埋立事業を計画しています。この野心的なプロジェクトは、当省の飛躍的な発展への強い意志を示すものです。国内外の投資家の皆様には、ベンチェ省全域、とりわけこの埋立地域への投資をぜひご検討いただきたく存じます。皆様からの投資を通じて、当省は国内市場にとどまらず、国際的な発展を目指してまいります」

国家戦略としての海洋経済

現在、ベトナムには19の沿岸経済特区が承認され、うち18区が運営中です。これらの経済特区では外国投資として553件・総額54億ドル以上、国内投資として1600件・総額58億ドルの事業が進行しています。2022年には、沿岸28省・市の経済生産が国内GDPの49.8%を占めるまでに成長しました。

ベトナムの党と国家は海洋開発戦略に関する法律や政策の完備も進めており、2018年には党中央委員会は「2030年までのベトナム海洋経済持続可能発展戦略と2045年までのビジョン」を採択しました。また、2012年の「ベトナム海法」制定、2015年の「海洋島しょ資源・環境法」成立により、法的基盤も整備されています。計画投資省のグエン・チー・ズン大臣は次のように語りました。

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「各省庁は今後、国家総合マスタープラン、地域マスタープラン、産業別マスタープラン、および地方開発マスタープランの見直しにあたり、三つの基本原則に基づいて施策を統合していく必要があります。具体的には、経済発展と国防機能の両立、重点プロジェクトの優先的推進、そして施策の重点化です。特に産業分野では、再生可能エネルギー、海運、物流など、将来の経済成長を牽引する分野に注力していきます」

2024年から2025年にかけて、ベトナムは重要な発展期を迎えます。海洋経済の持続的な発展は、国家の発展目標を実現する上で不可欠な要素となっています。この方針に沿って、環境に配慮しながら海洋資源を活用した経済発展を着実に進めていくことが求められています。

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