緊張が続く2018年の中東地域

(VOVWORLD) - 中東地域の緊張情勢は、2019年に大きな改善を見せるかどうかは期待できないでしょう。

2018年の中東地域は、和平回復の兆しを見せておらず、依然として緊張が続いているといえます。これは、同地域における各勢力の衝突と、大国間の影響力の拡大によるもので、2019年に改善するかどうかが問われています。

緊張が続く2018年の中東地域 - ảnh 1 イスラエル軍とパレスチナ人との衝突(写真:VNA)

緊張エスカレート

2018年は、IS「イスラム国家」の撲滅を見せた年でしたが、中東地域全体の情勢は悪化しつつあります。

アメリカがエルサレムをイスラエルの首都と認め、アメリカ大使館をエルサレムに移したことは、長引くイスラエルとパレスチナの衝突の激しさを増しています。アメリカのこの決定は、パレスチナとイスラエルの「2国家共存」を目指す交渉を破壊したものといえます。

一方、イランの核開発問題は、2015年7月にアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、ロシア、中国の6カ国とイランとの間で行われていた核協議が最終合意に達したことにより、ようやく解決できると期待されましたが、アメリカのトランプ大統領は、イラン核合意から離脱することを決めました。さらに、アメリカは、イランが中東地域におけるアメリカの戦略的利益を及ぼしているとした上で、対イラン制裁を強化する方針です。これに対し、イランは一歩も譲歩しない姿勢を示しており、両国関係はかつてないほど悪化しているようです。それは、中東地域のあたらな紛争を引き起こす恐れがあります。

そして、シリアの和平回復は依然として難航しています。ロシアとイランの支援を受けているシリア政府は戦場で優位に立っており、多くの地域を取り戻しましたが、和平回復の道はいまだ見つかっていません。また、2018年、シリア内戦で命を奪われた民間人は2017年を上回る7000人を超えています。

一方、2015年1月に始まったイエメンの内戦は、1万人の死者を出し、数百万人を飢餓に追い込むなど、今や「世界最悪の人道危機」と呼ばれるほどの深刻な事態に陥っています。こうした中、先月、国連の仲介で行われていた和平協議が終了し、国連のグデーレス事務総長は、イエメン西部の港湾都市ホデイダ等における停戦で合意したと発表しました。ただ、多くの人が指摘するように、合意が順守され、問題が解決に向かうのかどうかは分かりません。停戦合意発効の翌日には武力衝突が起きたとの報道もあります。

2019年の大きな改善は期待できるのか

こうした中東地域の緊張情勢は、2019年に大きな改善を見せるかどうかは期待できないでしょう。アメリカのトランプ大統領はシリアから部隊を撤退させると発表しましたが、シリアでの国益を無視するわけではありません。アメリカ、トルコ、イスラエル、ロシア、イランなどによるシリアでの国益に関する激しい争いはシリアの情勢をより緊張させる可能性があります。また、サウジアラビアとイランの代理戦争といえるイエメン内戦の早期終結も難しいと見られています。

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