統計によりますと、ベトナムは670万人の身体障害者がいます。そのうち、職業訓練を受け、安定した仕事に就く割合は10%しかありません。こうした中、政府や社会団体、企業は身体障害者が仕事に就いて社会に溶け込むための環境作りと政策の実施に取り組んでいます。
ベトナムでは、身体障害者向けの職業訓練と雇用創出は特別な関心を受けています。2006年職業訓練法の中は身体障害者向けの職業訓練に関する一章があります。政府も身体障害者向けの職業訓練施設を対象に優遇措置と優先政策を実施しています。
また、労働法には「国家は毎年、身体障害者のリハビリや職業訓練などを補助するための金額を予算から支出するほか、身体障害者の仕事斡旋と生活安定化のために低金利で融資する」との規定があります。実際、政府は、毎年、身体障害者の職業訓練活動に数千億ドンを拠出しています。

身体障害者に布折りを教えるクラス(写真:Tue Phuong)
現在、ベトナム全国は身体障害者向けの職業訓練施設256カ所と特別な施設55カ所があります。一方、身体障害者向けの雇用創出も重視されています。政府は、各企業が身体障害者を雇用することを奨励する政策や身体障害者の生産経営施設向けの優遇政策を実施するほか、雇用創出国家基金も設立しました。
また、2006年から、労働傷病軍人社会事業省はジョブフェアを頻繁に開催し、その中、身体障害者向けのエリアもあります。他方、各企業、社会団体、慈善組織、個人も身体障害者の仕事斡旋の補助を強化しています。
安全確保用の設備生産企業プロテク(Protec)社のグレイグ・クラフト(Greig Craft)社長は次のように明らかにしています。
(テープ)
「我が社が身体障害者を採用することは人道的・慈善的な理由だけではなく、彼らにチャンスを与えたいことでもあります。彼らはいつも真面目で、一般人と比べ劣らないといえます。彼らの能力は給料に値すると思います。我が社から見れば、ほかの企業も『身体障害者が何をできるか』ということを理解できると信じています」
そのほか、身体障害者専用の労働の場作りも重視されています。これは身体障害者に便宜を図る目的です。現在、全国で、身体障害者専用の生産経営施設は400ヵ所あり、身体障害者1万5千人が働いています。そのほか、身体障害者の生産経営施設の65%は税制や融資、生産用地などの面で優遇措置を受けています。
ベトナム身体障害者・孤児補助協会のグエン・ディン・リェウ(Nguyen Dinh Lieu)会長は次のように語っています。
(テープ)
「身体障害者にとって重要なことは彼らの出身地・居住地で労働の場を持つことです。これは私たちが進めている目標です。身体障害者は工業団地や輸出品加工区でも仕事をすることができますが、その出身地・居住地で労働の場を持ったほうが良いと思います。というのは、そこで彼らは親戚、隣の人々がいるからです。この3年、私たちはこのモデルを試験的に実施していますが、成功するといえます」
2012年から2020年までの身体障害者補助行動計画の中で、政府は、「2015年に身体障害者25万人が職業訓練を受け、安定した仕事に就く」という目標を掲げていますが、社会全体の努力により、この目標が達成されると期待されています。