(VOVWORLD) -2018年末まで残すところわずかとなりましたが、この1年、世界情勢は複雑に推移してきました。その中で、イギリスのEU=欧州連合の離脱、いわゆる、ブレグジットの離脱交渉の行方は不透明のままです。
ブレグジットの是非を決めた2016年6月の国民投票で、イギリス国民はブレグジットに賛成しました。イギリスはEU基本条約第50条にもとづき、2019年3月29日にEUを離脱する予定ですが、それ以来、この離脱に関する交渉は行き詰まっています。
ブレグジットで、イギリス国内で合意が達成しないまま
イギリスとEUは2018年11月13日、数カ月におよぶ交渉の末、ブレグジットに関する合意草案について合意しました。
合意草案は数百ページに及ぶとみられますが、焦点となる北アイルランド国境問題について、EU関係筋3人は、問題を解決できない場合のバックストップ(安全策)として、関税制度は原則的にイギリスがある程度規則を決められるものの、北アイルランドは特例としてEU規則に従う案が浮上していると指摘しました。
また、イギリスとEUの主張の差を埋めるための見直し制度も盛り込まれているとしました。草案合意を受け、イギリス内政党はさまざまな反応を示しました。メイ政権を支える北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)のドッズ副党首は、実際に詳細を見極める意向を示しました。
野党・労働党は、明るみに出た合意が自国にふさわしい内容となる公算は小さいとの見方を明らかにしました。イギリスで15日、同国のEU離脱の条件をめぐる合意草案に反発し、閣僚ら4人が辞任しました。
特筆すべきことはイギリスのメイ首相がEU離脱案を巡り議会の説得に行き詰まる中、同国の政界やメディアでは2度目の国民投票に関する臆測が広がっているということです。
EUからの離脱かどうか未解決の英国
イギリスとEUは11月に離脱の条件をまとめた離脱協定と、将来の関係性を示した政治宣言に合意しましたが、これが施行されるにはイギリス議会での承認が必要となります。議会は12月11日に採決する予定でしたが、メイ首相は協定が否決される公算が高くなったことを受け、採決を1月まで延期するなど、議会は紛糾(ふんきゅう)」しています。
一方、内閣は12月18日、合意なしブレグジットの準備を進めるために閣議を開きました。しかし業界団体は、「合意なしの離脱」を制御できるという考え方に根拠はないと指摘しました。これより前に、イギリス中央銀行はEUと合意のないままブレグジットを実施すれば、最悪の場合ポンドの価値が25%急落し、GDP=国内総生産は8%縮小する恐れがあると警告しました。
イギリス中央銀行の発表に先立ち、イギリス財務省は同日、合意のあるなしを問わずブレグジットによってイギリス経済は後退するという展望を報告しました。メイ政権がEUと交わした離脱合意を実施した場合、EUに残留した場合に比べて15年後のイギリス経済規模は3.9%小さくなっていると見通しを示しました。