
朴槿恵 氏
19日に行われた韓国の大統領選では、与党セヌリ党の朴槿恵(パククンヘ)候補が最大野党民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)候補を僅差で制し、当選しました。初の女性大統領であり、李明博(イ・ミョンバク)政権に続く保守政権となります。また、父親であるの朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領に次ぐ初の親子2代の大統領となります。2013年2月から始まる韓国の第18代大統領の任期は、韓国経済停滞、朝鮮半島の緊張情勢など様々な試練に直面すると認定されています。
朴氏が当選した背景には2012年の韓国経済の成長率が3年ぶりに最低となっています。ユーロ圏地域を始めとする外国の投資活動が急減しつつあります。また、先頃、韓国中央銀行は2012年の国内総生産の成長率が中銀予想の2.4%を下回る可能性があると明らかにしました。世界の景気が停滞する中、輸出依存型の韓国経済の勢いが弱まっていることを浮き彫りにしました。 さらに、韓国における貧富の格差は日増しに大きくなっています。相対的貧困率は2006年と比べ10%増となっています。
外交分野では、領有権の主張を巡って日本との対立、及び朝鮮半島での核問題などが続いています。多くの分析者らは南北朝鮮関係は李明博氏の任期中に著しく悪化したと評価しています。
朴氏は記者会見で、家計債務、高騰する教育費、高齢層の貧困などにあえいでいる現状を指摘し、父親である朴正煕(パク・チョンヒ)大統領時代の奇跡と呼ばれた急激な経済成長の再来による景気回復を訴えました。これは、大企業中心で格差が拡大した李政権の路線を修正し、「経済民主化」を主張します。雇用、福祉の充実などで中産層の拡大を目指します。一方で、大企業の競争力も温存し、早期に景気停滞局面からの脱却を図りたい考えでした。また、公平な人事などを通じた「国民統合」も目指しています。
新政府の構成について、朴氏は首相の選出権を尊重することを公約しました。その他、朴氏は大統領任期を現行の5年から4年に短縮する憲法の改正を検討すると明らかにしました。
朝鮮民主主義人民共和国との関係では、朴氏は関係改善へ向けた開放政策の維持、人道支援活動、離散家族再会事業の再開、南北朝鮮による貿易取引の強化などを発表しました。また、朴氏は人道支援活動を政治活動から切り離すと同時に、朝鮮民主主義人民共和国へのいかなる大規模な投資活動であろうとも朝鮮半島での非核化目標に寄与しなければならないと述べました。
多くの分析者は、韓国の新大統領は様々な困難に直面するものの、多くの有利な点に恵まれるであろうと評価しています。朴氏は22歳の時から政治活動に参加してきました。さらに、国会議員に初当選して以来連続5期にわたり当選し、セヌリ党非常対策委員長を務めてきました。これらのことは、朴氏の大統領任期に役立つと期待されています。
国民の生活改善と民族団結に全力を尽くすと宣言した朴氏は父親のように威信を高め、韓国の安全保障、経済状況を解決できると有権者から期待されています。