1.  ロシアとウクライナの衝突が世界レベルで深刻な影響

ロシアが２０２２年２月２４日に「ウクライナでの特別軍事作戦」を開始し、世界の地政学や経済地理学的リスクが高まっています。１０か月が経過した現在、衝突は沈静化の兆しが見られず、さらに衝突が長期化することえ国際情勢に深刻な悪影響をもたらす可能性があります。ロシアとウクライナとの軍事衝突について、ベトナムは関係各側に対し、衝突の終結、対話と和平交渉の再開、国民の安全確保、重要な民間インフラの保護を呼び掛けています。

2.新型コロナ後の世界経済が危機に直面

2022年3月以降、世界各国のほとんどは、水際対策の緩和や貿易活動の再開などウイズコロナによる新常態（ニューノーマル）を掲げ、2年にわたったパンデミックによって停滞していた経済の回復に力を入れています。しかし、世界経済の柱であるアメリカ、欧州諸国はかつてないほどの高いインフレに陥っているため、世界の多くの中央銀行は持続的な高インフレに対応し、金融政策の引き締めに舵を切っています。インフレの高騰、食料・エネルギー危機、政策金利の引き上げにより、世界経済は景気後退の危機にひんしています。

3. 世界人口80億人に到達

国連は2022年11月１５日、世界の人口が８０億人に到達したと発表しました。70億人の達成からわずか11年しかたっていません。医療技術や保健衛生が発達したためで、労働人口が増加し個人消費が活発になることで経済が成長することが期待されます。その一方で、食料や水、エネルギー、住宅など生活に欠かせない資源の不足を招くおそれがあります。そして、高齢化や経済格差、社会不平等、環境汚染などがグローバルな課題になるとされています。

 4. 世界的なエネルギー危機

世界的なエネルギー危機により、各国はエネルギーの供給不足と石油ガス・電気代の高騰に直面しています。新型コロナウイルス感染症の拡大、気候変動、過去数年間の急成長、ロシアとウクライナの衝突などがその要因です。世界的なエネルギー危機は再生可能エネルギーへのシフトを加速することの重要性を示しています。

5. COP 27 温暖化による「損失と被害」基金で歴史的な合意

エジプトで開かれた（COP27）国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議で、温暖化による「損失と被害」を支援する基金の創設が合意されました。「損失と被害」への資金支援は、30年前から途上国が求めていましたが、温室効果ガスの多くを排出してきた先進国は法的責任や賠償などにつながりかねないと議論自体避けようとし、根深い対立が続いていました。そのため、ＣＯＰ２７で達成されたこの合意は３０年間の交渉に取り組んでいた途上国の大きな勝利だとされています。

6. 中国共産党第２０回全国代表大会成功

中国共産党第２０回全国代表大会は中国の国内世論のほか、世界の注目を集めました。大会では、第19回党大会以来の習近平総書記による新時代の中国の特色ある社会主義思想の新発展を党規約に取り入れることで一致し、第20回党大会が提出した中国共産党の中心的な任務に基づき、党規約が奮闘目標をめぐる記述を完備しました。また、中国の経済と社会開発の戦略的目標について、2035年までに社会主義現代化をほぼ実現し、今世紀半ばまでに中国を社会主義現代化強国に築き上げるという二つ目の百年奮闘目標を実現させることを明らかにしました。さらに、世界における中国の役割と威信を高めるために、対外政策の方向性を打ち出しました。

7. 米中間選挙 野党・共和党 議会下院で過半数獲得

アメリカの中間選挙は野党・共和党が議会下院で多数派を奪還しました。議会上院では、与党・民主党が主導権を維持し、当初予想されていた共和党の勢いが阻まれた形ではあるものの、上・下両院で多数派の政党が異なるいわゆる「ねじれ議会」の状態が生じることになり、バイデン大統領は今後、難しい政権運営を迫られる局面もあるとみられています。

 8. NATO北大西洋条約機構 引き続き拡大

２０２２年７月５日、ブリュッセルで、NATO加盟各国は、北欧2か国、スウェーデンとフィンランドの正式加盟を承認する議定書に署名しました。すべての加盟国が国内での批准手続きを終えればNATOは32か国体制となります。これまで軍事的に中立を保ってきた北欧の2か国はロシアの脅威の高まりから5月にNATOへの加盟を申請していました。スウェーデンとフィンランドがＮＡＴＯに加盟すれば、欧州の安全保障をめぐる環境に大きな変化がもたされるとみられています。

9. 朝鮮民主主義人民共和国 「核兵器政策」に関する法令を採択

２０２２年９月８日、朝鮮民主主義人民共和国の最高人民会議で、核兵器の使用条件などを定めた「核兵器政策」に関する法令を採択しました。金正恩総書記は「わが国の核保有国としての地位は不可逆的なものになった」と強調し、今回の法令によって、核兵器の使用条件などの詳細が初めて明らかになったといえます。同法令は国が攻撃や侵攻を受けた場合など、核兵器使用が可能になることを示しています。また、大量破壊兵器による差し迫った攻撃や、国の戦略的資産に対する攻撃が検知された場合の先制核攻撃を可能にしました。北朝鮮への対応で、アメリカ・日本・韓国は複数の大規模な軍事演習を行いました。これらの動きは北東アジアの平和と安全を深刻に脅かしています。

10. 中東で初のワールドカップ

２０２２年１１月２０日から１２月１８日までサッカーの祭典、ワールドカップ（Ｗ杯）カタール大会が開催されました。今大会は、中東で初のワールドカップ、初の冬期ワールドカップ、アフリカ代表チーム（モロッコ）が準決勝に進出した初のワールドカップとなりました。また、アルゼンチンとフランスの決勝戦は、観客の心を一瞬たりとも逃さない壮絶な試合になりました。また、今大会は、アルゼンチンを36年振りの世界王者の座に導いたリオネル・メッシを顕彰するとともに、フランス代表のフォワード キリアン・エムバペが新世代のサッカーのスタープレイヤーとなったことを示しています。