アラビアと西側諸国の関係悪化

(VOVWORLD) - 先週、サウジアラビア政府の批判を続けていたジャーナリストがトルコにあるサウジアラビア総領事館で死亡した事件は、サウジアラビアとトルコとはもちろん、西側諸国との関係の緊張を招いています。

サウジアラビアのジュベイル外相は21日、トルコのサウジ総領事館での著名記者ジャマル・カショギ氏の死亡を「殺害」と認めたうえで「ひどい過ちだった」と述べました。一方、記者の死因や遺体の行方は不明だと説明し「ムハンマド皇太子に近い人物は誰も事件に関与していない」と語りました。

ジュベイル氏は殺害事件について「与えられた権限や責務を超えた人物による仕業だ」と指摘しました。「彼らは過ちを犯して隠そうとした」と語りました。検察当局などはサウジ国籍の18人を拘束し、容疑者の特定を急いでいます。

アメリカを拠点にサウジ王政を批判していたカショギ氏は、今月2日に総領事館に入った後、消息を絶ちました。トルコ当局は、館内で殺された可能性が高いとみて捜査し、殺害の様子を記録した音声データを入手したとも報じられました。

一方、アメリカのトランプ大統領は20日、同国メディアのインタビューで事件についてのサウジ側の説明に「ごまかしやうそがあった」と不満を示しました。トルコ当局も事件の捜査結果を近く明らかにする見通しで、サウジ側の説明の矛盾が鮮明になる可能性があります。

また、各国の閣僚や企業トップは、サウジで開かれる国際投資会議への出席を相次いで取りやめました。事件を巡る混乱が続けば、投資は伸び悩み、改革も停滞するでしょう。

フランスのルドリアン外相、ドイツのマース外相、イギリスのハント外相は21日、事件の真相解明を求める共同声明を発表しました。声明では、「殺害を正当化するものは一切なく、最も強いことばで非難しました。表現の自由や報道の自由を守ることはわれわれにとって極めて重要な優先事項であり、いかなる状況下であっても、ジャーナリストを脅し、攻撃し、殺害することは受け入れられない」として、カショギ氏の殺害を強く非難していました。

23日から25日にかけて、サウジアラビアの首都リヤドで「砂漠のダボス会議」として「FII=未来投資イニシアチブ」投資会議が開催されますが、この背景の中で、世界銀行総裁やIMF=国際通貨基金の専務理事長、フランス、イギリス、オランダなどの政府高官らが会議に欠席すると発表しました。

この事件は地域内の経済協力をはじめ、サウジアラビアとアメリカ、及び西側諸国の外交関係に悪影響を与えることでしょう。

ご感想

他の情報