(VOVWORLD) -先週末、南アフリカで新たに検出された新型コロナウイルスの変異株について、WHO=世界保健機関は、警戒度が高い「懸念される変異株(VOC)」に指定し、ギリシャ文字にちなみ、「オミクロン株」と名付けたと発表しました。
こうした中で、その性質には依然として不明点も多いですが、デルタ株よりも強い感染力が指摘されており、各国は警戒を強めています。
オミクロン株の特徴は、細胞へ侵入しやすく、免疫を回避したり、感染力が強い可能性があるとみられています。オミクロン株への感染は、南アフリカで77例、隣国のボツワナで4例、香港で2例が確認されているほか、ベルギーでも1例確認されました。南アフリカではほかにも、100例以上感染の疑いが指摘されており、感染例はさらに増える見通しです。感染者の中にはワクチンを2回接種したケースが含まれていて、ブレークスルー感染への懸念も広がっています。
こうした中で、ベルギー政府は、「11月27日までに、エジプトからの最近の帰国者のオミクロン株への感染を検出した」と発表しました。欧州諸国でこの変異株の感染が明らかになったのはベルギーが初めてです。「オミクロン株」については、感染力や重症化のリスク、ワクチンの効果への影響などは明らかになっていませんが、各国の間では、アフリカ南部からの入国を制限する動きが広がっています。
WHOは、各国に対して、監視態勢の強化や感染者についての速やかな報告を行うことなどを求めました。マスクの適切な着用や手洗い、室内の換気など、これまで同様の感染防止策の徹底を改めて呼びかけました。感染力や重症化の度合い、従来のワクチンの効力などを評価するためには、更に数週間程度かかるとしています。
「オミクロン株」を巡り、製薬会社各社は、ワクチンの有効性を検証するなど対応を急いでいます。ファイザーとワクチンを開発した「ビオンテック」は26日、「オミクロン株」に対するワクチンの有効性を判断するデータが2週間以内に得られる見通しを示しました。米モデルナも声明を発表し、その中で、「オミクロン株に対する追加接種(ブースター接種)用ワクチンの開発を進めている」と表明しました。既存のワクチンの高用量での投与のほか、複数の変異株に対応できるよう設計されたワクチン候補の試験を進めているとしました。
米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も同社が開発したワクチンについて、「オミクロン株に対する有効性を検証している」と明らかにしました。一方、ビオンテックによりますと、遅くとも2週間以内には、実験室でのデータにより新たな変異株がワクチンの再設計を必要とする「エスケープ変異株」であるかどうかについて、より詳細な情報が得られる見通しです。「エスケープ変異株」は、ワクチン接種によってもたらされる標的免疫反応を回避することができるとしています。