ゴラン高原をめぐる問題

(VOVWORLD) - アメリカのトランプ大統領は、21日、もともとシリアの領土であり、現在はイスラエルが占領しているゴラン高原について、ツイッターに「アメリカがゴラン高原でのイスラエルの主権を完全に認める時だ」と投稿しました。これは、多くの国の猛反発を受けており、ゴラン高原状況の不安定化を引き起こすものとなる可能性があります。

ゴラン高原はイスラエルが1967年の第3次中東戦争でシリアから奪った占領地で、戦略上の要衝となっています。イスラエルは1981年に併合を宣言しましたが、国際社会は認めていません。そのため、各国の厳しい反応はわかりやすいといえます。

これに対して、22日、シリアの国営通信は「偏向した分別を欠く姿勢で、最も強いことばで非難する。シリアはあらゆる手段を通じてこの尊い領土を解放する」とする外務省の声明を伝えました。

さらに、アラブ諸国やパレスチナが加盟するアラブ連盟は22日、「1981年の国連安全保障理事会の決議でも、イスラエルによるゴラン高原の併合は認めないことを全会一致で確認している。誤った判断を見直し、撤回するよう求める」とするアブルゲイト事務局長のコメントを発表しました。

一方、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領は、「われわれはゴラン高原占領の正当化を絶対に認めない」と言明し、「この問題を安保理で取り上げる」と明らかにしました。

域外諸国も懸念を表明しています。ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、「このような訴えは、すでに緊迫している中東情勢を大きく不安定化するものだ」と述べました。

イスラエル外務省は、「トランプ大統領は25日、ワシントンでのベンヤミン・ネタニヤフ首相との会談の席で、ゴラン高原に対するイスラエルの主権を認める文書に署名する見通しだ」と明らかにしました。

こうした中、アナリストらは、「ネタニヤフ首相は長年にわたりゴラン高原のイスラエル帰属を認めるよう働き掛けており、今回のトランプ氏の表明は、4月9日に総選挙を控えたネタニヤフ氏への贈り物のようなものだ」と指摘しています。

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