(VOVWORLD) -新型コロナウイルスの変異株は引き続き、全世界を脅かしています。その中で、先週、デルタ株の亜種「AY.4.2」が発見され、各国に深い懸念をもとらしています。
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イギリスではこのところ、新型コロナウイルスのデルタ株がさらに変異した「デルタプラス」の感染が拡大しています。研究者らはこの「デルタプラス」について、従来のデルタ株よりも感染力が10%程度強い可能性があると考えています。イギリスの衛生当局によりますと、デルタ株の亜種「AY.4.2」は9月末時点で感染件数の6%に上り、さらに増加傾向にあるといいました。AY.4.2には、ウイルスが人体の細胞を侵略する際に使うスパイクたんぱく質に新しい変異が見られるといいます。現時点では、この変異によってウイルスの感染力が急激に高まったという兆候はないものの、専門家が研究を進めています。
デルタ株は現在、イギリスで最も支配的なCOVID-19の変異株ですが、最新のデータでは感染例の6%が、デルタ株に遺伝的に連なる新型によるものとなっています。
「デルタ・プラス」と呼ばれることもあるデルタ株の変異「AY.4.2」は、ウイルスの生存率を高めるような変異を起こしている可能性があり、脅威の度合いを調べる実験が行われています。一方、専門家は、この変異株が大規模な感染を引き起こしたり、既存のワクチンが効かないという可能性は低いとみています。
AY.4.2の感染例は、アメリカでもいくつか出ています。デンマークでも確認されたものの、新たな感染例は減っているといいます。また、7月から世界で初めて追加接種を開始したイスラエルでも、19日、初のデルタプラス株の感染例が出ました。
そして、カナダのグループによる研究では、非VOCsに比べ、デルタ株が毒力(Virulence)を増していることを示しました。入院リスク、ICU入室リスク、死亡リスクは、デルタ株症例は非VOCs症例に比べ、それぞれ120% (93-153%)、 287% (198-399%) 、 137% (50-230%)と増加していました。
WHO=世界保健機関で緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン氏は10月21日、「新型コロナウイルス対策が解除され、冬にかけて人が屋内に集まっていることを背景に、欧州諸国で感染者が増加しており、今後も感染が拡大する恐れがある」と警鐘を鳴らしました。ライアン氏は「状況が昨年のように悪化し、医療体制が再び圧迫されるかどうかが問題だ」と述べました。
専門家らによりますと、デルタプラスの亜種が新型コロナウィルス感染症の症例数の急激な増加を引き起こす場合、近いうちに、この状況への対応策を早急に出さなければならないとしています。