(VOVWORLD) -ロシア産ガスをバルト海経由で欧州に送るパイプライン「ノルドストリーム2」に関し、ロシアの欧州への影響力拡大を嫌うアメリカが施工企業に制裁を科すことを決定しました。トランプ政権との関係が一段と悪化しそうです。
「ノルドストリーム2」プロジェクトはバルト海底を経由してロシア沿岸部とドイツを結ぶガスパイプラインでプロジェクト参加者は主に欧州企業となります。計画では2019年内に建設完了予定です。本プロジェクト実施に反対を表明しているのは一連の欧州諸国と、自国天然ガスを欧州に推し進めたいアメリカです。
米上下両院は今月、国防予算の大枠を定めた国防権限法を可決しました。トランプ大統領が20日に署名しました。同法は、アメリカの安全保障にとって重要な欧州との関係を脅かすとして、パイプライン敷設に参加する企業の幹部の資産を凍結したり、アメリカへの滞在許可を剥奪したりする条項を含んでいます。これを受け、敷設で主要な役割を担うスイス油田開発大手オールシーズは21日、暫定的に作業を停止しました。
アメリカ政府は今後60日かけて制裁対象を特定する方針ですが、影響は既に出始めています。トランプ氏は、パイプラインが完成すれば「ドイツがロシアの人質になる」と強調し、代替策としてLNG=アメリカ産液化天然ガスの売り込みをかけていますが、欧州側の反発は強いです。
EU=欧州連合の報道官は21日、「合法的な事業を行うEU企業への制裁に反対する」と表明しました。独政府報道官も「ドイツと欧州の企業を標的にした干渉だ」と反発しました。
欧州の天然ガス市場を巡り、ロシアとアメリカが対立している背景の中で、アメリカはロシアからドイツに向かうパイプラインに制裁を発表したことからみれば、ロシアだけでなく、ロシアが最大のガス調達先である欧州からも反発の声が上がり、米欧関係にも影響を与えかねません。