米中の経済貿易摩擦、高まる

(VOVWORLD) -米中対立が長期化する懸念が広がっています。トランプ大統領は、中国との貿易問題で合意を急がない姿勢を見せ、経済減速を防ぐためFRB=米連邦準備理事会に利下げ要求を連日繰り返しました。

中国人民元は先週、対ドルで下落しました。人民元は0.3%安の1ドル=7.0486元でした。中国商務省は8日、中国企業が米農産品の購入を一時停止したと発表しました。トランプ大統領が中国に対する制裁関税第四弾を発動すると表明したことに対する対抗措置としています。米中の貿易戦争は再び制裁合戦に突入しました。

発表によりますと、中国政府は、中国企業による米農産品の新規購入を後押しするために実施してきた追加関税の免除について、8月3日に打ち切りました。これを受け、企業はすでに農産物の購入を停止したといいました。

中国外務省の華春瑩(かしゅんえい)報道局長は8日未明に声明を出し、アメリカの追加関税について「大阪での首脳会談での合意に著しく反する」と非難し、アメリカが首脳会談での合意を「誠実に実行し、両国の農業分野での協力に必要な条件をつくる」ように求めました。

しかし、トランプ氏は中国による農産物の購入が不十分だと再三、不満を表明しました。8月末に大阪で行われた習近平国家主席との会談では第4弾の制裁関税の見送りを表明しましたが、8月1日に一転し、中国からの3千億ドル分の輸入品に10%の関税をかけると発表しました。

トランプ氏は9日、「中国と合意する準備ができていない」と述べ、9月上旬にワシントンで開く予定の閣僚級協議を中止する可能性にも言及しました。制裁関税拡大や為替操作国の指定など圧力を強めれば中国側が折れるとの期待もありましたが、習近平指導部は1ドル=7元台の人民元安を容認するなど対決姿勢を強めています。

アメリカ経済への打撃を懸念する声が広がるなか、トランプ氏は「1%かもう少し利下げしてほしい」とFRBに追加緩和を改めて促しました。6日には中国の報復関税に苦しむ米農家の支援策について「20年も必要に応じて実施する」と越年の可能性もほのめかしました。

世界は、アメリカの一部の人物が為替操作を持ち出し、経済貿易摩擦をエスカレートさせることで生じる危害に懸念をつのらせています。ロイター通信は過去1週間の世界市場情勢を分析した際に、中米経済貿易摩擦が「世界の成長の先行きに暗い影を落している」と指摘しました。また利下げの渦が巻き起こり、多くの中央銀行が「市場の予想を上回る量的措置」を講じていると伝えました。

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