(VOVWORLD) -先週、アメリカのトランプ大統領は、貿易をめぐって米中両国の対立が深まる中、「中国は貿易の障壁を撤廃し、知的財産についても取り引きが成立するだろう」として、不公正な貿易の是正に自信を見せました。
6日トランプ政権が、中国による知的財産権侵害を理由にした1000億ドル(約10兆7000億円)規模の追加的な貿易制裁の検討に入りました。中国はアメリカが追加リストを発表すれば直ちに対抗措置を取ると宣言しました。アメリカ側との交渉にも後ろ向きな姿勢を示すなど態度を硬化させており、実際の制裁発動をにらんだ今後の米中協議は難航しそうです。
トランプ大統領は声明で「アメリカの国益を損なう不公正な貿易慣行を決して許さない」と強調しました。貿易赤字の是正に取り組まずに、対米報復に動く中国を批判しました。これを受け、中国商務省は6日夜、連休中にもかかわらず、急きょ記者会見をしました。高峰報道官は「1000億ドルの課税リストが発表されれば、中国は直ちに強力な反撃に出る」と報復を予告しました。さらに「米国は情勢を見誤った。このような状況では、いかなる交渉も進められない」とアメリカ側との協議に否定的な考えを示しました。
米中が一歩も引かない構えを見せるのは、互いに守りたい「聖域」を狙い撃ちにされたためです。アメリカが知財分野で既に決めた500億ドル相当の制裁案は、中国が戦略的な産業 振興を目指すハイテク製品を主な対象としました。中国はアメリカからの輸入量が多い大豆や自動車、航空機を報復案に盛り込み、揺さぶりをかけました。
ただ、アメリカのウィルバー・ロス商務長官はアメリカテレビで「最終的にすべての問題が何らかの交渉になっても、全く驚かない」と発言しました。中国の朱光耀財政次官も「貿易戦争を望まない」と語っており、米中双方に全面衝突を避けたい本音が見え隠れします。
トランプ政権は、知的財産の侵害に対する制裁措置を発動する前に、貿易赤字の削減に向けて中国と協議する姿勢を示していますが、中国は態度を硬化させていて、米中の対立が収まるめどは立っておらず、協議が進むのか注目されます。