米大統領の弾劾裁判を巡る問題

(VOVWORLD) - 先週、中国をはじめ、多くの国で新型コロナウイルスの感染が拡大していることや、アメリカのトランプ大統領が弾劾裁判で、無罪が評決されたことは国際情勢の焦点となりました。

アメリカ上院は5日、トランプ大統領のウクライナ疑惑をめぐる「権力乱用」と「議会妨害」の二つの訴追条項について無罪評決を出しました。アメリカ史上3回目となった大統領の弾劾裁判は終結しましたが、与野党の対立のなか、政治的な幕引きの色合いが濃く、真相が解明されたのか疑問を残す結果となりました。トランプ大統領は、自らの政治的利益のためにウクライナに圧力をかけた「権力乱用」と、議会による調査を妨害した「議会妨害」で去年12月に弾劾訴追され、議会上院で先月から弾劾裁判が開かれてきました。

裁判では疑惑の核心を知るとされるボルトン前大統領補佐官を証人に呼ぶかどうかが最大の焦点になりましたが、与党・共和党の反対で動議は否決され、証言は実現しませんでした。

これを受けて5日、陪審()員役の上院議員が「権力乱用」と「議会妨害」のそれぞれについて有罪か無罪かの判断を表明する手続きを行いました。

その結果、「権力乱用」については有罪が48、無罪が52、「議会妨害」については有罪が47、無罪が53となり、いずれも大統領を有罪とするのに必要な出席議員の3分の2以上に満たず、裁判長役を務めるロバーツ連邦最高裁判所長官はトランプ大統領に無罪評決を下しました。

そして、トランプ氏の支持率は就任以降、大きく変動することなく推移しており、弾劾調査が始まってからもその傾向に変わりはありませんでした。

トランプ大統領としてはみずからの潔白()が証明されたとアピールして、秋の大統領選挙での再選に向けた運動を勢いづけたい考えでしたが、民主党側は政治的な幕引きで疑惑は残ったままだとして、大統領として不適格だと訴えるとみられ、対立は続くことになります。

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