米大統領主催の気候サミット、新たな排出削減目標を発表

(VOVWORLD) -先週、アメリカのジョー・バイデン大統領の主催により気候サミットが開催されました。

日本や中国、EUなど世界各国・地域の首脳40人が招待され、気候変動対策についてオンライン 形式で議論が行なわれました。今回の会議は国際世論の関心を集めています。

会議では、「パリ協定」の目標である産業革命の前と比べて気温上昇を摂氏1.5度に抑制するためのNDC(国が決定する貢献)について、パリ協定に復帰したアメリカが新たに「2030年までに2005年比で温室効果ガス(GHG)50~52%削減」という目標を発表しました。パリ協定離脱の前、オバマ政権時に設定したNDCは「2025年に2005年比でGHG26~28%削減」でしたが、この目標を2倍近くに引き上げた形となります。関連して、日本は2030年度に2013年度比でGHG26%削減だった目標を46%削減に引き上げ、カナダは2030年までに2005年比でGHG30%削減だった従来目標を40~45%削減に引き上げました。イギリスは2035年までに同78%削減の目標を表明しました。

二酸化炭素(CO2)排出量世界1位の中国の対応について、中国の習近平国家主席は、2030年までにCO2排出量をピークアウトさせ、2060年のカーボンニュートラルを目指すとする従来方針を述べるにとどまりましたが、アメリカなどから批判されている石炭消費については「第15次5カ年(2026~2030年)で段階的に減少させる」との方針を明らかにしました。また、世界のCO2排出量に占める国・地域別割合が高いインドのナレンドラ・モディ首相は「気候変動に責任ある開発途上国として、インドに持続可能な開発のテンプレートを作るべく、パートナーを歓迎します。そのために、バイデン大統領と『気候・クリーンエネルギー・アジェンダ2030パートナーシップ』を立ち上げる」と、アメリカとの今後の協働を訴えました。ロシアのプーチン大統領は「昨日行った年次教書演説で、2050年までのCO2累積排出量の大幅削減を課題に掲げている」「サハリン地域で開始した炭素排出量取引の試行によって、同地域は2025年までにカーボンニュートラルを実現できる見込みだ」と述べ、目標達成に向けて取り組みを強化していく姿勢を見せました。

気候変動サミットに関し国連のグテレス事務総長は声明を出し、日本などの姿勢を「歓迎する」と述べました。サミットでは、2030年に向けた温室効果ガスの排出削減目標について、日本が「2013年度比で46%」との新たな目標を示したほか、アメリカも従来の目標からほぼ倍増させました。グテレス事務総長はサミットの後声明を出し、排出削減目標についての上積みなどを表明した日本や、アメリカ、カナダなどの国々について言及して、「新たな貢献について歓迎する」と評価しました。その上で、11月に予定されているCOP26=気候変動枠組み条約締約国会議に向けて、全ての国に一層の努力を呼びかけました。

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