カタールとUAEの関係悪化、米の戦略的利益に打撃

[ロイター] - カタールとUAE=アラブ首長国連邦の中東湾岸2カ国は、軍用機の飛行航路などを巡り互いに相手を非難し、緊張が高まっています。


両国の関係悪化はアメリカの戦略的利益を脅かす恐れがある一方、アメリカと敵対するイランを利することになりそうです。

UAEはカタールの戦闘機が先月、バーレーンに向かっていたUAEの旅客機2機の航行を妨害したと主張しました。一方カタールは、UAEの軍用機が昨年12月21日と今年1月3日にカタールの領空を侵犯したと訴えています。

両国はいずれも相手方の主張を否定しており、事態の沈静化を望んでいます。専門家によりますと、対立が深刻化するリスクはありますが、両国が戦争状態に陥ることはなさそうだといいます。

ただ、中東湾岸ではUAEとサウジアラビア、バーレーン、エジプトが昨年6月、テロリストを支援しイラン寄りだとしてカタールと断交しており、今回カタールとUAEの間で緊張が高まったのはアメリカ政府にとって懸念材料です。

西側外交筋は「カタール(の軍用)機が緊急発進して旅客機の近くを飛行すれば、そういう意図がなくとも人命が失われて事態がエスカレートし、湾岸諸国が未知の状態に突入するリスクがある」と述べました。

ライス大で金融制裁を専門とするガブリエル・コリンズ氏は、軍事的な動きの背景には外交・通商面の制裁による緊張の高まりがあり、判断ミスは起こり得ると指摘しました。「最悪のケースの場合に小さな火花が火元となって大火災が起きることもあり得る」としました。

マティス米国防長官は、湾岸の友好国内部の亀裂はアメリカがイスラム国との戦いや対イラン政策を進める上で妨げになると述べました。


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