ジョージ・フロイドさん死亡事件 元警察官に有罪評決
(VOVWORLD) - 去年、アメリカで人種差別への抗議活動が広がるきっかけになった、黒人のジョージ・フロイドさんが死亡した事件で、フロイドさんの首を押さえつけて死亡させた罪に問われている元警察官について、ミネソタ州の裁判所の陪審は有罪の評決を出しました。
デレク・ショービン被告=Sky |
アメリカの中西部ミネソタ州で去年5月、黒人のジョージ・フロイドさんが白人の警察官に9分以上にわたって首をひざで押さえつけられて死亡し、その後、これに反発するデモが各地で起きて、人種差別への抗議活動が全米に広がりました。
この事件で、フロイドさんの首を押さえつけて死亡させたとして、第2級殺人など3つの罪に問われている元警察官のデレク・ショービン被告について、ミネソタ州の裁判所の陪審は20日、すべての罪で有罪とする評決を出しました。
裁判で弁護側は、ショービン被告が警察の指針に従って訓練どおりに行動したと強調したほか、フロイドさんの死因は使用していた鎮痛剤と持病によるものだとして、無罪を主張していました。
裁判はメディアを通じて全米に生中継されて高い関心を集め、裁判所の周辺に集まった大勢の人たちは、有罪の評決を受けて抱き合ったり歓声を上げたりしていました。
評決を受けて、量刑についてはことし6月に言い渡される見通しです。
アメリカでは同様の事件で警察官が有罪になるのはまれで、今回の評決は、人種差別の解消や警察の取締りの在り方を考えるうえで重要な一歩だと受け止められています。
フロイドさんの弟「私たちは再び息をすることができる」
南部テキサス州ヒューストンでは、フロイドさんの家族が自宅で裁判のニュースを見守りました。
そしてショービン被告に有罪の評決が出されると、フロイドさんの家族は大きな歓声をあげたり拳を突き上げたりしたあと、互いに抱き合っていました。
フロイドさんの姉は「私は被告のために祈ります。彼が手錠をかけられて裁判所から出ていくのを見て、彼にはもう力がないことを知りました。弟は帰ってきませんが、評決をうれしく思います」と話していました。
また、中西部ミネソタ州のミネアポリスでは、評決を受けてフロイドさんの弟たちが記者会見を開きました。
フロイドさんの弟は「彼の死から1年もたっていませんが、長い旅でした。きょう、私たちは再び息をすることができる」と話しました。(NHK)