(VOVWORLD) - 現在、北部バクニン省では、伝統的な民謡「クアンホ」がユネスコ国連教育科学文化機関によって「人類の無形文化遺産の代表」として称賛されてから15周年を記念する多くの活動が行われています。
15年を経て、この遺産は単に時代や社会の変化の中で保存されただけでなく、新たな生命力を持ち、現代の息吹にも溶け込んでいます。バクニン省の学校で民謡クアンホを教育に取り入れることは、この人類の遺産を次世代に継承し、保存するための最も効果的な方法の一つとなっています。
クアンホを疲労している男女グループ |
クアンホは、ベトナム北部のバクニン省とバクザン省に起源を持つ伝統的な民謡で、日本の「歌垣」に似た独特の音楽文化です。通常4〜5人で構成される男性または女性のグループが、春と秋の村の祭りに集まり、歌を交わします。
この伝統的な歌の特徴は、互いに歌詞を掛け合う即興的な対話にあります。一方のグループが歌を歌うと、もう一方のグループは同じメロディーに異なる歌詞で応えます。歌の内容は多岐にわたり、恋愛、友情、故郷への思いなど、人間の感情や経験を深く表現しています。
クアンホは単なる音楽表現を超え、社会的な機能も果たしていました。慶事や宗教的な儀式、雨乞いや厄除けの祈願など、コミュニティの重要な行事においても歌われ、人々の生活と密接に結びついていました。
(現場の音:リム小学校でのクアンホ教室)
お聞きいただいているのはバクニン省ティエンズー県にあるリム小学校2年生の音楽の授業の様子です。常に活気に満ちたこの授業では、地元の伝統的な衣装と烏の嘴のような帽子を身につけたお姉さんたちや、地元の民謡の歌い手が直接指導を行っています。
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「先生方から歌と演奏の経験を伝えてもらい、歌い方を指導していただいています」
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「以前は断片的にしか歌えませんでしたが、学校でクアンホを学んでから、多くの歌を覚えました」
授業以外にも、学校が主催するクアンホクラブに多くの生徒が参加しています。これらの活動では、生徒たちは古い歌詞と新しい歌詞を学ぶだけでなく、クアンホの衣装や、クアンホ村の人々の礼儀正しい振る舞いについても学びます。リム町の歌い手たちは、このようにして若い世代に民謡への愛を育んでいます。
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「クアンホの才能を育み、私たちの故郷の民謡を子どもたちに伝えたいと思います。ここでは子どもたちは歌を学ぶだけでなく、コミュニケーションやライフスキルも学んでいます」
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「私は10年前から子どもたちにクアンホ民謡を教えてきました。今日の若い世代は、私たちの世代から文化のバトンを受け継ぎ、故郷の伝統と世界的な文化遺産を大切に守り、未来へと伝えていく重要な役割を担っています。彼らの存在は、私たちの文化を受け継ぐ希望そのものなのです」
クアンホを学ぶことにより、生徒たちが郷土の遺産の価値を理解するだけでなく、地元の伝統文化と人々の美しさをより深く理解できます。優雅で感情豊かな民謡を通じて、生徒たちは美的教育、文化的伝統、人格形成、郷土への誇りと愛を学んでいます。リム小学校のグエン・ティ・ホン・ハン校長は次のように語りました。
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「私たちは学校のクアンホクラブを維持し、地元の民謡の職人たちと協力して指導しています。学校の授業期間中だけでなく、夏休み中も地元のクラブや民謡の歌い手との連携を続けています」
2011年以来、バクニン省は保育園から中等教育までの学校で同省のクアンホ民謡を教育に導入しています。現在、省内の学校には610のクアンホクラブがあり、各学校に少なくとも1つの定期的に活動するクラブがあります。
教育の質を確保するため、文化・スポーツ・観光局は教育局と協力し、各年齢層に適したクアンホ民謡の教育カリキュラムを作成しています。バクニン省教育局のグエン・ティ・ゴック副局長は、今後の計画として以下の5点を挙げています。
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「第1に、学校でのクアンホ民謡教育プログラムを厳格に実施すること。第2に、 学校内のクラブを設立し、定期的かつ効果的な活動を維持すること、第3に、中等学校の生徒向けクアンホ民謡コンテストを毎年開催すること、第4に、クアンホ民謡教育のための教育設備とインフラを強化すること、第5に、クアンホ民謡の伝承、保存、普及のための教師陣の継続的な研修を行うことです」
バクニン省の民謡「クアンホ」は、繊細で深い旋律を持ち、伝統的な音楽のジャンルを超えて、地元の文化的シンボルとなっています。学校でのこれらの旋律の教育と普及は、人類の無形文化遺産の保存だけでなく、若い世代に民族の文化的ルーツをより深く理解させ、この芸術形態の貴重な価値を維持・発展させる意識を高めることに貢献しています。