ドンダの丘祭り

（現場の音）

祭りが行われるドンダの丘は、ハノイ市ドンダ区のテイソン通りに位置する歴史的な場所です。1788年10月、中国の清軍がベトナムに侵攻してタンロン城（現在のハノイ）を占領し、この丘の周辺に基地を築きました。これに対しクアン・チュン帝は中部ビンディン省から北上し、ドンダー地区で清軍を包囲して勝利を収めました。1789年1月5日、クアン・チュン帝はタンロン城に入城し、この戦勝を祝いました。以来、この日を記念して毎年祭りが開催されています。

2月2日にあたる今年の旧正月5日の早朝より、多くの観光客がこの祭りを訪れました。ハノイ市ドンダ区に住むハー・クアンさんは、祭りは儀式と祝祭の二部構成であると述べ、次のように語りました。

（テープ）

「ドンダの丘祭りの伝統的な儀式と祝祭を両方取り入れた本格的な催しとなっており、特に地元の方々の参加も多く、とても賑わっています」

朝6時から始まる儀式では、地元の祭祀団による供香や祭祀、神輿行列、クアン・チュン皇帝の像と廟への献花が厳かに執り行われました。神輿行列は市民が祭りの様子をゆっくりと見られるよう配慮して進められました。参加者からは喜びの声が聞かれました。

（テープ）

「厳かで荘厳な祭りに、これほど大勢の方が参加されているのを見て感動しています。私も年を重ねましたが、天と仏様、そしてクアン・チュン皇帝をお祀りする祭りに参列できることを、心から嬉しく思います」

（テープ）

「祭りの規模の大きさと華やかさには毎回感動します。私は毎年参加していますが、運営も素晴らしく、全国各地から大勢の方々が集まってこられます」

「歴史叙事劇」

（現場の音：「歴史叙事劇」）

厳かな儀式の後の祝祭では、クアン・チュン皇帝像の下で歓迎の太鼓演奏が行われ、当時の戦いを再現する「歴史叙事劇」が上演されました。この演目は、武を尊び、新年の活気を生み出す伝統芸能として、多くの観客の注目を集めました。

「歴史叙事劇」に出演したベトナム国立トゥオン劇場の俳優ヴー・マイン・リンさんの話です。

（テープ）

「民族の英雄、クアン・チュン皇帝を演じさせていただくことは、私にとって大きな喜びであり、誇りです。この役を通じて、ご来場いただいた皆様に心に残る演技をお届けできればと願っています」

「歴史叙事劇」はハノイ市民をはじめ、多くの来場者の心をひきつけました。

（テープ）

「この演劇には、ゴック・ホイ・ドンダの勝利を後世に永く伝えていくという重要な意味があります。私たちの子孫たちも、先人たちが築き上げてきた歴史を大切に受け継いでくれることでしょう」

（テープ）

「厳かな祭祀と、クアン・チュン皇帝の戦いを再現した歴史的な場面の両方を拝見し、祖国の歴史への理解がより一層深まりました。このような催しは、私たちの民族の歴史を身近に感じ、学ぶ貴重な機会となっています」

（テープ）

「この演劇を通じて、数々の英雄的な場面を目にすることができ、ベトナム人としての誇りを強く感じました」

会場となるドンダの丘周辺では、人間将棋や中国将棋などの伝統的な遊びや競技も行われ、観光客や市民で賑わいました。また、水上人形劇、クアンホ民謡、チャウヴァン音楽、トゥオン劇の上演なども行われました。ドンダ文化公園管理委員会のヴー・ティ・タイン・フォン委員長は次のように語りました。

（テープ

「すべての芸術プログラムは、民族の伝統を大切に守りながらも、現代的な要素も巧みに取り入れることで、私たちの素晴らしい文化や習わしを継承しています」

このドンダの丘祭りは、単なる年中行事ではなく、ベトナムの歴史を伝え、愛国心や団結心、そして民族としての誇りを再確認する重要な機会となっているのです。