(VOVWORLD) -作曲家チョン・バンは優秀な作曲家であるだけでなく、ベトナムの各世代のアーチストを育成し、ベトナム音楽の発展に貢献してきた人物です。
作曲家チョン・バン (Nguyễn Đình Toán撮影) |
ベトナムの著名な作曲家チョン・バン(Trong Bang)が2022年11月21日に死去しました。91歳でした。バン氏は優秀な作曲家であるだけでなく、ベトナムの各世代のアーチストを育成し、ベトナム音楽の発展に貢献してきた人物です。
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お聴きいただいたのは同作曲家の交響曲でした。「人は幸せな日々をもたらす」をタイトルとした作品です。ところで、作曲家チョン・バンは、1975 年の南部完全解放後に当時のサイゴンで有名な交響曲コンサートを指揮した最初の指揮者でした。また、彼は、1975年6月1日のベトナム南部解放記念日を祝う音楽会の指揮者でもありました。その時、サイゴンオペラハウスで、ベトナム国立交響楽団は作曲家チョン・バンの指揮の下、ドイツ人作曲家ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」を演奏しました。
(Nguyễn Đình Toán撮影) |
作曲家チョン・バンについて、作曲家ゾアン・グエンは「バン氏は、素晴らしい記憶力を持つ尊敬する交響曲指揮者である。彼は約 600もの世界の交響曲を暗記している」と明らかにし、次のように語りました。
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「作曲家チョン・バンは、多くの面において優れた指揮者でした。彼は、世界的にも有名な作品、世界各国の一流のオーケストラを指揮しただけでなく、自ら作曲した作品も直接指揮していました。作曲家として、彼は、複数の楽曲、声楽、歌曲などで有名になっています」
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作曲家チョン・バンは、1931年5月1日に生まれました。ハノイ音楽院(現在はベトナム国立音楽院)の院長、ベトナム作曲家協会の理事長、第10期国会議員を歴任しました。
中学生の時に音楽活動を開始しました。大学卒業後、中央人民音楽団(現在は、ベトナム国立歌舞団)の団長を務めました。1963年に、旧ソ連の一流音楽院へ交響曲の指揮を学ぶために派遣されました。さらに、彼は、チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院を優秀な成績で卒業した最初のベトナム人でした。
帰国後、彼は、ベトナム交響楽団・合唱団・バレエ劇場の指揮者を務め、その後、副監督兼芸術監督に任命されました。作曲家チョン・バンは、1985年にロシアで開催された「ベトナム文化デー」で、モスクワ交響楽団を指揮したことがあります。また、作曲家チョン・バンの指揮の下、フランスやスイス、オーストリア、ドイツ、日本、アメリカなど各国の著名なアーチストがハノイで、ベトナムの交響楽団と一緒に演奏しました。
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抗米救国闘争中に作曲されたチョン・バン氏の歌曲は、労働、生産、戦闘のテーマばかりでしたが戦争が終結し、1976年に作曲された歌集「故郷への愛」は、国の輝かしい時期を讃える多くの歌が含まれています。例えば、「故郷への愛(Tình quê hương)」、「北西部は再び明るくなる(Tây Bắc sáng lại)」、「ヌイタンの勇敢な戦士たち(Những dũng sĩ Núi Thành)」、「道を照らす月(Trăng sáng trên tuyến đường)」、「我が大砲が鳴り響く(Pháo ta gầm)」、「人民公安を讃える歌(Bài ca người chiến sĩ công an nhân dân)」などです。
歌手ホアン・トウンは次のように述べています。
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「私は子どもの頃から、作曲家チョン・バンの歌曲をよく聴いていました。後に、音楽院の学生時代、彼の歌曲をたくさん勉強しました。そして、歌手になった現在、チョン・バンの歌をよく歌っていますよ」
これまでにベトナムの何世代もの歌手、指揮者、作曲家は作曲家チョン・バンの指導を受け、優秀なアーチストとして育っています。それらのアーチストの一人作曲家のゾアン・グエンは次のように明らかにしました。
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「作曲家チョン・バンは、私のお手本となった教師です。彼は、私たちに和音などの些細なことから室内交響曲の偉大な作品まで教えてくれました」
ベトナムの音楽に多大な貢献をした作曲家チョン・バンは、2013年に第3等独立勲章、および2017年に文学芸術のホーチミン賞を受賞しました。