その昔貴族が住んでいたフェ市のお屋敷は独特の建築様式を持ち、この地の人々と自然との調和を示しています。この10年、トアティンフェ省( Thua Thien Hue)はこうしたお屋敷を観光スポットの一つとして宣伝してきました。
フォーン(Huong)川沿いにある古都フェの遺跡群は1993年に世界文化遺産として認定されました。フェ市に足を運ぶ観光客は故都フェの城、旗台、午門、寺院などを見学してから、アンヒェンという名のかつて貴族が住んでいたお屋敷で落ち落ち着いた雰囲気を満喫ことができます。
現場の音
このお屋敷を囲む緑は観光客の心をとりこにしています。この家の建築様式は昔のままの姿で保たれています。庭園に至る小道の両脇には白い花が咲き乱れる梅の並木道があり、左に曲がって、「寿」という漢字が書かれていた古い屏風の後ろには大きな池があります。この池の周りには色とりどりの花が咲いています。この10年、フェ市に在住しているJICA日本国際協力機構の専門家であるコバヤシ・アキコさんはフェ市の元貴族のお屋敷を訪れる度に心を動かされています。
(テープ)
「フェ市の庭付きの独自の建築様式として挙げれらるのは家の柱が木材製であるということです。特に、庭園がとても見事です。お屋敷を所有している友人がいるので、時々、この家を訪れ、果物を採って、楽しいです。最も素晴らしいことはこの家の雰囲気は穏やかで、心地よくなることです」
コバヤシ・アキコさんの話でした。
フォン川に面しているフェ風お屋敷はフェ市にある最も美しい家と評されています。この家を訪れた観光客は庭の落ち着いた雰囲気と独特の建築様式に惹かれるほか、この家のお手伝いさんの案内の下でこの家を見学できることにも興味を持っています。そのお手伝いさんは今年50歳になったグェン・ティ・タクさんです。彼女は16歳の時から、この家で働いてきました。
(テープ)
「これはアンヒェンという庭園付きの元貴族家です。アンというのは平安、ヒェンというのは家ということで、平安の家という意味があります。これはフェ市の庭園付きのお屋敷としてフェ市の代表的なもので、1895年に建てられました。この家の敷地はおよそ5千平方メートルです。庭にはマンゴスチン、梅、ライチなどベトナム全土の有名な果物の木々が植えられています。」
タクさんの話でした。
アンヒェンお屋敷はベトナムの封建時代の伝統的家屋の建築様式を持ち、三間屋と三間の母屋の両脇に小屋があります。先ほどのタクさんの話です。
(テープ)
「フェ市はこの家をニャ・ルオン、つまり、柱の家と呼びます。この家には釘やコンクリートなどをまったく使っていません。柱はジャックフルーツ(バラミツ)木材で作られました。5重に重なった屋根があるので、夏は涼しく、冬は暖かいです。三間の中央の間は、先祖を祀る祭壇が置かれます。これは接客を行う応接間としても使われています」
タクさんの話でした。
フェ市の庭園付きの家を見学し、この地の人々の心と生活様式を一部理解できることでしょう。フェ市の庭園付きのお屋敷は人と自然、そして、物質的生活と精神的生活の微妙なバランスを示しています。このお屋敷はフェの独特の文化と人々の品格を十分にあらわすところと言っても過言ではないでしょう。