ベトナムの世界遺産めぐりの中で何といっても、中部にある古都フェの遺跡群を見逃せません。古都フェ遺跡群の中には1085年にグェン(阮)王朝時代のミンマン王が建設したフェ王宮が代表的な見所です。
200年間の歳月を経た今もなお、この王宮には140の施設が昔のまま保存されています。フエの中を流れるフォン川(香川)の北岸に位置する王宮の総面積は500ヘクタールで、周囲は10キロメートル、高さ5mの城壁に囲まれ、その外側に内堀がめぐらされています。フェ王宮はベトナムの伝統的建築様式と東洋の哲理思想、及び、西洋の軍事的建築様式の結合により建設されました。オープンツアー旅行会社のガイドのグェン・ティ・カイン・ハ( Nguyen Thi Khanh Ha)さんは次のように語りました。
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「フェ王宮にはグー・ビン( Ngu Binh) 山とフォン( Huong) 川に囲まれ、古都を守る要素となっています。この王宮は南向きです。つまり、グェン王朝の王は南を向いて天下を治めます。」
王宮内には皇族の屋敷や菩提寺などが一つの軸に沿って建てられました。先ほどのガイドは次のように語りました。
(テープ)
「左右が対照です。例えば、左には鐘があれば、右には太鼓があるということです。建築物が陰陽のバランスが取れているため、永遠に存在します」
王宮は皇城(ホアンタイン)あるいは大内(ダイノイ)とも呼ばれました。門は四面に一つずつ開き、南を午門(ゴモン.Ngo Mon)で、王様だけがこのゴモンを利用できます。先ほどのガイドのカイン・ハさんは次のように語りました。
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「午門から太和殿までに至る空間は朝廷の重要な儀式が執り行われる場所です。その両側には歴代のグェン王朝の皇族を奉った太廟(タイミャオ.Thai Mieu)と歴代皇帝を奉った世廟(テミャオ)( The Mieu)があります。合わせて、10人の王様が奉られています。中央にはザーロン王が奉られている所です」
特に、世廟の敷地内にはベトナムで最大とされている9つの大鼎(おおかなえ)が置かれました。これはグエン王朝時代の9人の王様のシンボルとされています。これらの大鼎にはベトナムの国土の美しさを讃える彫刻があります。
太和殿
太和殿の後ろには王様の居住区である紫禁城(トゥ・カム・タイン)です。紫禁城の遺跡を見学するとグェン王朝時代の王様の生活をある程度理解できます。先ほどのガイドのカイン・ハさんは次のように語りました
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「紫禁城の中心となる軸上には勤政殿(カンチャンディエン)、乾成殿(カンタインディエン)、坤泰殿(コンタイディエン)が並びます。その左右には皇帝の多くのそばめや皇子皇女の住んだ諸殿、御園と呼ばれる庭園などがあります」
古都フェの遺跡群を探検する旅に見逃すことができないのはグェン王朝の歴代の帝廟(お墓)です。この遺跡は王城の西側にあり、フォン川の両岸に位置しています。これらの廟はベトナム独特の建築様式を持ち、それぞれはそれぞれの王様の性格を示しています。
1日間にはフェ遺跡にある王宮と王廟だけを見学できます。フェ遺跡には様々な見所がありますから時間の余裕があったら、一度フェ遺跡に足を運んでください。