(VOVWORLD) - 東北部クアンニン省ティエンイエン県イエンタン村に住む少数民族ザオ族の女性たちは、農作業の合間に針と糸を手に取ります。スカーフや服の襟に、代々受け継がれてきた模様を器用に刺繍し、民族の伝統美を守り続けています。
イエンタン村のザオ族の女性 |
イエンタン村では、人口の90%以上がザオ族です。刺繍は女性たちの生活に深く根付いており、文化や儀式、伝統行事とともに、その技術も世代を超えて受け継がれています。暇な時間には、家の軒先に女性たちが集まり、丁寧に針を進める光景が見られます。
35歳のチウ・ティ・ホアさんは、ザオ族の風習として、結婚前の女性は自分の結婚衣装を作り、義母や義姉妹への贈り物も作るため、刺繍や裁縫を学ぶとし、次のように語りました。
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「私たちの民族の刺繍は祖先から受け継いだ伝統技術です。簡単なものから難しいものへと、粘り強く学んでいきます。ズボンの裾や襟の模様が最も難しく、ズボンの裾一対の刺繍に2〜3ヶ月、シャツの両襟に約1ヶ月かかります。1セットの衣装を完成させるのに約5ヶ月を要します」
ザオ族の女性の伝統衣装は、シャツ、ズボン、ベルト、帽子、スカーフで構成される複雑なものです。シャツは襟と胸の前に約10cmの幅で刺繍され、ズボンは両脚の裾から約30cmの長さに最も多くの模様が刺繍されます。
刺繍を施している女性 |
チウ・ティ・ハイさんによりますと、刺繍は単なる装飾ではなく、民族の文化的特徴や生活様式、信仰も表現しているそうです。
(テープ)
「これらの模様は、ザオ族の風水と信仰を表現しています。サンスクリット文字や木々、鳥獣の形を調和の取れた色彩で表現し、両面刺繍されています。特に頭飾りは非常に複雑で、100枚の布と薄板、32本の針で作られ、職人が1ヶ月かけて仕上げます」
地元の文化的アイデンティティを保存し、観光開発につなげるため、地方政府は住民とともにこの伝統技術の保存に取り組んでいます。イエンタン村人民評議会議長、ファム・ヴァン・フン氏は次のように語りました。
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「我々は民族文化アイデンティティ保存クラブを立ち上げ、祝日やお祭りの際には民族衣装の着用を呼びかけています。女性たちは自分たちの民族的アイデンティティを表現できることを誇りに思っています」
ティエンイエン県レベルでも、少数民族の刺繍保存クラブが設立されました。県文化課副課長のズオン・ティ・ハウ氏は次のように語りました。
(テープ)
「ティエンイエン県の少数民族の伝統衣装は非常に手の込んだ手工芸品で、女性の美的センスと細やかさが求められます。現代社会では、この技術は徐々に失われつつあります。しかし、若い世代に伝え、保存するために、刺繍クラブ発展プロジェクトをはじめ、多くのプロジェクトを展開しています。刺繍製品を観光商品にすることも目指しています。刺繍クラブを発展させることで、若者たちも刺繍技術を学んでいます。現在では、少なくとも自分の衣装を刺繍して着ることができるようになっています」
ザオ族の人々は、文化的アイデンティティの保存と発展が、一つ一つの模様への愛であり、それが民族の世界観全体を表現していることを誇りに思っています。この伝統技術は、彼らのアイデンティティを守り、次世代へと受け継がれていくのです。