テイ族のユニークな伝統文化 「コム作り祭り」

(VOVWORLD) - 稲の収穫時期が近づくと、北部トゥエンクアン省に住む少数民族テイ族の人々は、青いもち米で「コム」をつくる祭り(いわゆる「コム作り祭り」の準備に忙しくなります。炉で焼かれるもち米の香り、コムを搗く音、そして人々の賑やかな笑い声が、観光客を魅了する活気に満ちた雰囲気を作り出します。
テイ族のユニークな伝統文化 「コム作り祭り」 - ảnh 1

(現場の音)

この祭りは毎年旧暦9月に開催され、「タム・カウ・マウ祭り」とも呼ばれ、トゥエンクアン省のテイ族の特徴的な伝統文化行事です。普通のお米やもち米は稲が黄金色に色付いてから収穫しますが、このコムを作るもち米は稲穂が未熟なうちに収穫して加工されます。青は若い稲の色なのです。コムは餅菓子や料理に使うこともありますが、旬のものはシンプルにそのまま食べるのが一番美味しい食べ方です。

秋の肌寒い季節に行われるこの祭りは、新しい収穫の始まりを告げるだけでなく、地域の人々が文化交流を行い、団結を深める機会でもあります。コム作り祭りは農業生産者にとって意味があるだけでなく、精神的な意味も持っています。

トゥエンクアン省チエムホア県チュンハー村の祈祷師マ・ドゥック・ムオン氏は次のように説明しています。

(テープ)

「満月の時期、つまり旧暦9月15日か16日に、村人たちは先に稲を刈り取ります。まだ青い稲を刈ってコムをつくり、天に捧げます。豊作と豊かな暮らし、そして来年も良い収穫に恵まれますようにと祈ります。テイ族の人々は、この祭りを行うことで安心して生活できるのです」

コム作りがはじまると、村人たちは杵と臼の音に合わせて歓声を上げ、祭りを楽しみます。この祭りの精髄と特徴は、コムを搗く過程に最も生き生きと表現されています。

(現場の音)

祭りの賑やかな音は、純粋な餅つきの動作と臼をつく技術のリズミカルな組み合わせによって生み出されます。杵と臼は元々、稲から米を取り出すための労働道具でした。食文化が精神文化へと昇華し、人々の鑑賞欲求がますます高まるにつれ、杵と臼は祭りの楽器や小道具となりました。

テイ族のユニークな伝統文化 「コム作り祭り」 - ảnh 2

コム用の米は非常に厳選され、もち米で粒が充実し、均一な薄い黄色をしている必要があります。コムは2つの方法で作られ、米を茹でるか、ちょうど熟した米を炒めて冷まし、臼でつき、ふるいにかけて籾殻を取り除いてから臼に入れて再びつきます。

コムを搗く過程は6つのリズムに沿って行われます。それぞれのリズムは異なり、様々な意味を表現し、精神的な色彩と豊穣の概念を含んでいます。臼のリズムは、愛、道徳、意志、感情についての歌です。また、心の温かな信号、コミュニティを結びつける絆、そして民族の文化的伝統に対する誇りを灯すものでもあります。チエムホア県チュンハー村の住民クアン・ティ・ヒエンさんは次のように述べています。

(テープ)

「私は、稲田に囲まれて育ち、米と餅によって育まれました。祭りに参加することで、私たちは文化的特徴を保存し、先祖が残した文化的価値を継承することができます」

コムができると、村人はそれを使って民族独自の風味を持つ様々な料理を作ります。新鮮なコムは、熟したバナナと一緒にデザートとして食べられます。緑色で柔らかく香り高いコムと、秋の終わりの甘いバナナの味が絶妙に調和します。新鮮なコムはアヒルのスープで煮て、濃厚でクリーミーな粥を作ることもあります。同じ新鮮なコムを炒めて膨らませると、パリッとして甘く香ばしくなります。また、コムを「ゾン」という葉に包んで作られるおこわはその柔らかさと香りで、食べる人をひきつけるでしょう。

コム作り祭りでは、子孫たちは最初のコムを、敬意を込めて先祖と土地神に捧げます。この儀式は、天地と先祖への深い感謝の気持ちを表すとともに、民族の何世代にもわたる文化的伝統を守り続けたいという願いの表れでもあります。チエムホア県チュンハー村のセオ・ヴァン・スーさんは次のように述べています。(テープ)

「チュンハー村は純粋な農業地域で、主に農業生産を行っています。村のコム作り祭りの開催は、テイ族の美しい文化的特徴の一つであり、非常に古くからあります。地域の特徴的な観光商品にするために、チュンハー村はこの祭りを開催し、民族の文化的アイデンティティを発展・保存し、地域の農産物をPRしています」

コム作り祭りは、テイ族独自の特徴を持つ文化活動で、文化・スポーツ・観光省によって国家無形文化遺産リストに追加されました。これは、地域の人々にとって大きな誇りとなっています。

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