(VOVWORLD) -EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長は4日、ヨーロッパの防衛力を強化するため、最大で8000億ユーロ、日本円にして125兆円規模の資金の投入を目指す計画を発表しました。
アメリカのトランプ大統領がヨーロッパ各国に対し国防費の増額などを迫る中、EUのフォンデアライエン委員長は4日、防衛力の強化に向けて「ヨーロッパ再軍備計画」と名付けた計画を発表しました。
具体的には最大1500億ユーロ、日本円にしておよそ23兆円を融資する新たな枠組みを作り、加盟国による兵器の共同調達などを後押しするほか、加盟国に対する財政規律を緩和し、財政赤字の拡大を一定程度、容認することで国防費の増加につなげるなどとしています。この計画により最大で8000億ユーロ、日本円にして125兆円規模の資金の投入を目指すとしていて、今月6日に開かれるEUの特別首脳会合で議論すると明らかにしました。
フォンデアライエン委員長は「私たちは最も重大で危険な時代に生きている。ヨーロッパはウクライナを緊急的に支援するために、そしてヨーロッパの安全保障でより一層の責任を果たすために、国防費を大幅に増やす用意がある」と述べました。
ヨーロッパ再軍備計画が過去30年以上で最高レベルに達する中、先週、欧州諸国は欧州大陸における米国の「核の傘」に関する協議も開始しました。フランスのマクロン大統領は5日、テレビ演説を行い、フランスの核戦力による「核の傘」を欧州全体に広げるための協議を欧州諸国と始めると表明しました。米国のトランプ大統領がロシア寄りの姿勢を強めたのを受け、ロシアの脅威への対処として欧州独自の核抑止力構築を目指します。今回の構想は、ドイツの次期首相候補で中道右派・キリスト教民主同盟(CDU)のフリードリヒ・メルツ党首から議論の呼びかけがあったと明らかにしました。現在は北大西洋条約機構(NATO)を通じて米国が欧州に核抑止力を提供していますが、マクロン氏は仏独が主導して欧州独自の「核の傘」について検討を進める考えを示したとしています。