(VOVWORLD) -先週、アメリカとウクライナの両政府は、ウクライナ国内の鉱物資源の開発を共同で行うとする経済連携協定に署名しました。
(写真:Yulia Svyrydenko/X) |
ウクライナの経済省は、スビリデンコ第1副首相兼経済相とアメリカのベッセント財務長官が、ワシントンで復興投資基金を設立する経済連携協定に署名したと発表しました。基金は、ウクライナとアメリカの両国が共同で運営するということで、ウクライナの一部メディアは石油や天然ガス、リチウム、チタン、ウランなど57種類の資源の開発に投資する内容だと伝えています。
その上で「いくつかの重要な項目の詳細が決まっていない」として、より詳しい内容が別途定められるとしています。協定では、ウクライナの領土や領海にあるすべての資源の所有権はウクライナにあるとしたほか、両国の対等な関係を反映し、基金の運営にあたってはいずれも過半数の議決権を持つことはないとしています。
アメリカの財務省も30日、ウクライナの復興投資基金の設立でウクライナ側と合意したと発表しました。
この中で「この経済連携は、双方の資産や人材などによってウクライナの復興を加速させるためにともに投資するものだ」などとしています。
ただ、発表では鉱物資源については具体的に触れていません。発表の中でベッセント財務長官は「歴史的な合意だ」とし、さらに「アメリカはこの残酷で無意味な戦争の終結に向けて支援することを約束する」とした上で、「ロシアに対し、トランプ政権が長期にわたって自由で主権を持つウクライナを中心とした和平プロセスに関与することを明確に示すものだ」とコメントしています。
鉱物資源の権益をめぐっては、トランプ大統領とゼレンスキー大統領がことし2月、ホワイトハウスで会談して合意文書に署名する予定でしたが、激しい口論となって見送られていました。
しかし、この合意を実施することは多くの課題に直面するとみられています。ウクライナ採掘産業協会のジョージ・ポポフ研究者によりますと、最大の問題の一つは、ウクライナの鉱物資源の埋蔵量や鉱床の分布図に関するデータのほとんどが、今から30〜40年前に作成された古い情報であるとしています。
さらに、ウクライナが保有する希土類資源の約60%が、現在ロシアの支配下にある地域に存在するとされています。そのため、資源の採掘が実際に成果を収めるために、何年もかかる可能性があると評されています。