タウ・チュア ― ドンヴァン石灰岩台地に住むモン族の素朴な郷土料理
(VOVWORLD) - ベトナム北部トゥイエンクアン省のドンヴァン石灰岩台地を訪れると、観光客は高地の市場でモン族の人々に親しまれてきた料理を数多く味わうことができます。
モン族の料理「タウ・チュア」 |
メン・メン、タン・コー、バイン・ザイなど、その中でも「タウ・チュア」という料理があります。大豆と野菜から作られるタウ・チュアは、「酸っぱい豆腐」とも呼ばれ、何世代にもわたってこの地のモン族を代表する料理となってきました。
ギアトゥアン村に住む70歳のハウ・ティ・チャウさんは、幼い頃からおばあさんやお母さんたちがタウ・チュアを作る姿を見てきたといいます。今でも、この料理はこの地のモン族の家庭の食卓に欠かせないものとなっています。
(テープ)
「モン族にはタウ・チュアという大変美味しい料理があります。昔から、誰もが作り方を知っていて、とても美味しく作っていました。おばあさんやお母さんたちも今、作り方を伝えて、ここのモン族の子孫たちが皆この料理を知るようにしています」
(大豆をすり潰す機械の音)
タウ・チュアの主な材料は大豆です。大豆は十分に水に浸した後、水と一緒にすり潰して豆乳を作り、滑らかさを確保しながら自然な風味を保ちます。その後、豆乳を加熱し、沸騰したら「酸っぱい水」を加えます。これは森で採れる酸味のある葉から抽出した調味料です。この酸っぱい水は、穏やかな酸味を加えるだけでなく、豆乳を濃縮してとろみのある豆粥状にする働きもあります。
タウ・チュアのもう一つの重要なポイントは、高地の特産野菜「カイ・メオ」です。収穫後、きれいに洗って細かく刻んだカイ・メオを、豆粥が沸騰しているところに投入します。これにより、大豆の香ばしさと野菜の爽やかさが見事に調和します。メオヴァック村のモン族、カイさんは次のように語ります。
(テープ)
「タウ・チュアを作る時は、まず野菜を入れなければなりません。その後で酸っぱいスープを入れます。でも鍋が沸騰するのを待ってから野菜を入れることが大切です」
その後、各家庭の好みや習慣に応じて、薄味にも濃い味にも調整します。最後にパクチーを加えて、タウ・チュアに芳しい香りを立たせ、食べる人の食欲をそそります。
タウ・チュア(右)。
とろみのある汁が特徴で、メン・メンと一緒に食べるのが定番です。
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ハノイからドンヴァン石灰岩台地を観光に訪れたファム・ヴァン・タインさんは、初めてタウ・チュアを味わい、次のような感想を述べました。
(テープ)
「初めて石灰岩台地を訪れ、市場で地元料理を味わいましたが、どれもとても美味しかったです。メン・メン、タン・コー、トウモロコシ酒など、中でも特に印象的だったのがタウ・チュアという料理です。手の込んだ料理ではありませんが、とても食べやすく、香ばしくてあっさりしていて、一度味わったら忘れられない印象を残します」
ハウ・ティ・チャウさんによれば、タウ・チュアはモン族の生活に深く根ざした料理だといいます。そのため、現代生活で多くの変化があり、他の民族の新しい料理が流入してきても、タウ・チュアは多くのモン族の家庭で自分たちの民族固有の特産品として大切に守り続けられています。
(テープ)
「タウ・チュアは単なる料理ではなく、誇りであり、モン族の魂なのです。モン族である以上、この料理を知り、守っていかなければなりません。タウ・チュアはモン族だけでなく、他の民族の人々が味わってもとても気に入ってくれます。私はいつも子孫たちに言い聞かせ、教えて、モン族に昔から伝わるこの伝統料理を守り続けていくようにしています」
(モン族の笛の音楽)
ベトナム最北端の地であるドンヴァン石灰岩台地を訪れる際には、ぜひ市場でタウ・チュアを味わい、この地のモン族が受け継いできた素朴で忘れがたい美味しさを体験してみてはいかがでしょうか。