クメール族の競漕船「ゲー・ゴー」を彩るマスコット

(VOVWORLD) - この「ゲー・ゴー」、ただの船ではありません。クメール族の文化や信仰、そして精神性が深く結びついた、大切なシンボルなんです。

皆さんこんにちは。今日の話題は、ベトナム南部のメコンデルタに暮らすクメール族の人々にとって、特別な意味を持つ「ゲー・ゴー」という競漕船のお話です。

(BGM:競漕コースの雰囲気)

この「ゲー・ゴー」、ただの船ではありません。クメール族の文化や信仰、そして精神性が深く結びついた、大切なシンボルなんです。船体は色鮮やかな模様で飾られ、まるで生きているかのようです。そして、それぞれの船には芸術性豊かな一対の目が描かれ、船首にはそれぞれ特徴的なマスコットが飾られています。

クメール族の競漕船「ゲー・ゴー」を彩るマスコット - ảnh 1カントー市ヴィンフック地区にあるスィーウメ寺の白い象の像。

ゲー・ゴーは共同体の所有物で、クメール族が最も崇拝し尊重するクメール寺院に保管されています。クメール族の精神生活において重要な位置を占めるため、各チームの力を象徴する動物のマスコットも寺院で大切に扱われ、「神聖なもの」として祭りの競漕の日にのみ使われます。

このマスコット、実は集落や寺院ごとに違うんです。神鳥、蛇神、人魚、龍、象、虎、馬…様々な動物たちが、それぞれの船を飾ります。これらのマスコットは、単なる飾りではなく、クメール族の人々の精神的な価値観や信念が込められたものなんです。

人民芸術家のチャウ・オンさんは、次のように説明してくれました。

(テープ)

「マスコットは、集落や寺院の名前に基づいて選ばれます。その名前の最後の子音によって、どの動物にするかが決まるんです。昔から、それぞれの子音には司る動物がいるとされてきました。例えば、子音『コー・ゴー』は虎、『トー・ノー』は龍、『ドー・ヴォー』は象です。ただし、一部の寺院では、マスコットが犬やネズミになる場合、より強い動物に変更することもあります」

これらのマスコットは、クメール族の職人によって一つ一つ丁寧に彫刻されます。職人の巧みな技によって、船体の装飾は生命を宿し、クメール文化の多様性と豊かさを伝えます。ソクチャン市でゲー・ゴーの装飾を専門とするソン・サ・テさんは次のように話しています。

(テープ)

「普段は仏像の絵を描いたり装飾したりしていますが、水祭りの時にはゲー・ゴーも装飾します。船に魂を吹き込む作業はとても楽しいです。例えば、龍がマスコットなら、龍のひれのような文様を描きます。水に浮かべると非常に映えるんです」

クメール族の競漕船「ゲー・ゴー」を彩るマスコット - ảnh 2チャムパ寺では、虎がシンボルとして選ばれています。

(BGM:競漕コースの雰囲気)

寺院や集落の人々にとって、ゲー・ゴーのマスコットは、チーム全体の旗の色やユニフォームをも象徴し、競漕コースでの目印となります。戦術やチーム編成とともに、マスコットは精神的な支えとなり、水上の競技で選手たちに信念と力を与えます。そして、集落や寺院に勝利をもたらした時、それは人々の誇りとなるのです。

カントー市ザー・ホア村のプレック・ター・クオル寺院管理委員会委員長、キム・タイン・クアンさんは次のように述べています。

(テープ)

「私たちの寺院のマスコットは鳳凰です。鳳凰を選んだのは、クメールの信仰では、これが権威ある鳥とされているからです」

ゲー・ゴーのマスコットは、クメール族の文化を象徴する美しい伝統の一つ、その鮮やかな色彩と力強い姿は、私たちに勇気と希望を与えてくれます。

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