モスティン総督、および同夫君（写真提供：外務省）

今回の訪問は、両国関係の実質的・効果的かつ包括的な協力の成果を引き継ぎ、二国間関係を新たな段階へと進める取り組みとなります。

1973年の外交関係樹立以来、50年以上にわたり両国は多くの協力成果を重ね、2024年には関係を「包括的な戦略的パートナーシップ」に格上げしました。今回の訪問は、オーストラリアが東南アジア、とりわけベトナムとの関係を重視する一貫した政策を体現するものであり、ベトナムにとっても南太平洋地域、とくにオーストラリアを重要視する姿勢を示す機会です。
包括的な戦略的パートナーシップの樹立
3月に包括的な戦略的パートナーシップが樹立された後、両国は6つの協力分野を柱とする行動計画（2024-2027年）を策定し、既にその96％を実施しました。また、初の閣僚級安全保障対話の開催や、国連平和維持活動分野での協力推進など、関係は着実に深化しています。東南アジア研究所のグエン・フイ・ホアン元所長は次のように語りました。
（テープ）
「ベトナムとオーストラリアの包括的な戦略的パートナーシップは国際関係の一つのモデルであり、地域の平和と安定を促進するとともに、両国の発展機会を生み、今後の地域秩序の形成に寄与します」
一方、オーストラリア・ベトナム政策研究所のレイトン・パイク氏は次のような見解を述べました。
（テープ）
「両国は多くの価値観を共有しています。経済は相互補完的で、いずれも地域の中堅国です。協力すれば多くのことを成し遂げられるでしょう」
経済・貿易分野では、両国ともにCPTPP=包括的かつ先進的な環太平洋経済連携協定、RCEP= 地域的な包括的経済連携協定、AANZFTA=ASEAN・オーストラリア・ニュージーランド自由貿易協定などに加盟しており、関税優遇などの具体的利益を享受しています。二国間貿易額を早期に200億米ドルへ引き上げる目標を掲げています。
また、オーストラリアには約35万人のベトナム人コミュニティがあり、ベトナム語は同国で使用頻度上位4言語の一つです。人的・文化的つながりが両国関係を支える基盤となっています。両国は引き続き人的交流を推進し、ベトナム人留学生の受け入れや「新コロンボ計画」によるオーストラリア人学生の派遣などを進めています。
包括的な戦略的パートナーシップを強化する決意
今回のサム・モスティン総督訪問は、包括的な戦略的パートナーシップの確立から1年半余りの節目にあたり、政治をはじめ全ての分野での友好・協力の強化、戦略的信頼の深化を確認する重要な機会となります。総督は滞在中、ルオン・クオン国家主席との会談、党と国家の指導者との会見、ベトナム・オーストラリアフォーラムへの出席、オーストラリア・ベトナム政策研究所の開所、ホーチミン市および文化・歴史施設の視察などを予定しています。
この訪問を通じ、両国は相互理解と信頼を基盤に、さらに緊密で実質的な関係を築くことが期待されています。