(VOVWORLD) - ベトナムで、国を挙げたデジタル変革を推進する決議が公布されてから1年が経過し、各地で具体的な成果が現れ始めています。
ダクラク省 DX基盤整備事業を始動 |
この決議は、ベトナム共産党政治局が去年12月22日に公布した「科学技術発展、イノベーション、国家デジタル変革に関する決議57号」です。決議の核心は、国内の力を最大限に発揮すると同時に、世界の最新科学技術を積極的に取り入れ、成長モデル転換という課題を飛躍のチャンスに変えることにあります。
各地で進む変革
科学技術発展を担当する中央指導委員会によりますと、施行から1年、決議は具体的な成果を通じて徐々に浸透しています。各省庁や地方行政府に割り当てられた任務の達成率は高く、法制度の整備やデジタル化も順調に進んでいるということです。
多くの地方が積極的で創造的な取り組みを見せています。特に注目されるのは、この決議があらゆるレベルの指導者や管理者の考え方や行動を変えたことです。
ビンロン省の住民 オンライン公共サービスを利用 写真撮影:Ngoc Nu |
南部のヴィンロン省では、デジタルインフラの整備が急ピッチで進みました。省人民委員会のグエン・フイン・ティエン副委員長は次のように説明しています。(テープ)
「現在、省内のすべての町村で広帯域の光ファイバー網が整備され、すべての集落で3Gと4Gの携帯電話通信がカバーされています。366の5G基地局も稼働を始めました。省レベルから村レベルまで、すべての行政機関がネットワークで結ばれ、すべての省の局や部門がセキュリティを確保したLANシステムを構築しています。オンライン会議システムやデータ統合センターも整備され、電子政府の構築が着実に進んでいます」
決議の実施方法は、各地域や部門の実情に合わせて柔軟かつ創造的です。
中部のダクラク省では、研究機関と大学、企業を結ぶ「3者連携」という独自の仕組みを作りました。この仕組みを通じて、研究成果を実用化する取り組みを進めています。現在までに研究成果の80%以上がすでに実用化され、ハイテク農業やバイオテクノロジー、農産物の保存・加工技術、管理のデジタル化などの分野で活用されています。
ダクラク省科学技術局のファム・ザ・ヴィエット副局長は次のように語りました。
(テープ)
「科学者による専門的な研究テーマを推進し、重点課題について省人民委員会や科学者が意見交換できる場を設けています。また、政府が発注する形で科学者がアイデアを実現し、資源を開拓して決議57号をより効果的に実践できるようにしています」
さらなる加速が必要
決議57号の施行1年で得られた成果は、国全体にイノベーションとデジタル変革の精神を力強く広げました。政治経済学研究所のファム・ティ・トゥイ副所長は、今までの成果を発揮する必要があるとし、これからの課題について次のように指摘しました。
(テープ)
「決議57号は、第4次産業革命の時代にベトナムが飛躍するための戦略宣言です。今後注目すべき3つの重点は、国全体でイノベーションを生み出すエコシステムの構築、デジタル変革とグリーン変革の推進、そして高度な技能を持つ人材の育成です」
人材育成とともに重要なのが、制度と指導力です。科学技術やイノベーション、デジタル変革は、開放的で透明な制度の枠組みの中で、有能な指導者に導かれてこそ効果を発揮するからです。
グエン・フイ・ズン氏 写真提供:VGP |
先日開催された中央指導委員会の会議で、決議57号実施作業部会のトップを務めるグエン・フイ・ズン氏は、各地方のリーダーに次のように求めました。
(テープ)
「各地方のトップは、進捗管理ツールを日々活用して状況を把握し、問題点を見つけたらすぐに対処してください。住民や企業へのオンライン公共サービスの提供を最優先し、地域間の連携強化と投資に関する考え方の転換に力を入れる必要があります。そして重要な事業やプロジェクトに資源を集中的に配分すべきです」
決議57号は、新たな発展段階におけるベトナムの進むべき道を明確に示しました。今後の課題は、単にこの決議を完遂することではなく、世界の技術革新に真に追いつき、世界と同じ歩調で前進していくことです。そのためには、これまで以上に断固とした、そして実質的な取り組みが求められています。